芭蕉さんの壁画再考など。

以前にも紹介した桐生のレトロでアートすぎる洋食屋さん「芭蕉」ですが、先々月、ひさびさに訪れて、奥様と一緒にだらだら呑んでおりました(ありがたや)。


で、そのあと、先月この「芭蕉」さんがNHK・Eテレの「ふるカフェ系ハルさんの休日」に出るというから、もちろん見ましたよ。ハルさん、ちょいウザキャラですね(笑)。


もちろん、壁に埋まっていたこの棟方志功の壁画も登場してました。
 
店の雰囲気に合わないから埋めちゃったとのことですが、番組中で、掘り出した直後のかなり鮮明な写真が出てきてびっくり。眼から鱗。


かな~り、どぎつくピンクピンクしてた。
これなら、たしかに渋いみちのくの馬小舎というコンセプトには合わないかもと、ちょっと納得してしまいました。

上の写真の、現状ぐらい色褪せてると、全然違和感ないんですけどねえ。結果オーライ?



埋めてあった頃は、同じ場所にこれと同じ所(上岡観音絵馬市)の絵馬がいっぱい並べて飾られてました。



あと、最近、改めて棟方志功の展覧会図録とか眺めてて気付いたこともありまして。

棟方志功って、一時期、ギリシャローマモチーフにこだわってた頃があるんですよ。

そこからすると、この壁画の馬はよく見たらペガサスだし、掘り出したばかりの頃のピンクピンクした背景に女性の鮮やかな青い髪と眼、これって、実はギリシャローマ系な絵だったのでは?と思ってしまいました。

そうすると、大の棟方志功ファンだった芭蕉のご初代様が、青森出身の棟方志功ならではのみちのく感を期待したのに対して、棟方志功自身のそのときのギリシャローマ系マイブームがズレちゃった、という状況が想像できてしまう。

店のコンセプトとか全然見てない棟方さんのマイブームへの真っ直ぐさと、大ファンだからこそ失礼のないよう本人には黙って埋めたというご初代様のこだわり。当時の文化人の個性のぶつかり合いと思いやりが、イマドキの空気読め的な風潮の対極を行っててかっこいいです。



御初代の小池魚心さんは、「花なら何でも美しいという人は、花の美しさがわからない人だ」という名言を遺したと番組で紹介されていました。

人々がもてはやすからとか、ファンだからとか、そういうことでなく、自分自身の本当の美意識にきちんと向き合うことの大切さ、一美術ファンとして胸に刻みたいです。

ていうか、すみません、私も、棟方志功だから、ファンだから、ってだけで今までこの壁画を拝んできました。それに、こんな考察たれてみたところで、それはそれで私も色々な情報に惑わされてるだけかもしれないわけです。御初代様、なんか本当、すみません…。

自分の美意識って何なのか、思った以上に難しい問題です。私は割とつい何でも調べ込んでしまうタチなんですが、それでいいこともあるし、悪いこともあるのかもしれません。



ところで、これ以来、「ふるカフェ系ハルさんの休日」はちょいちょい見てるんですが、毎回いちいち気になってしまう場面があります。

それは、ハルさんがそのカフェの美味しいもん食べて至福に包まれるときのBGM。

モーツァルトのオペラ「魔笛」の中の、「夜の女王のアリア」と呼ばれる曲なんですが、これは毒母の怒りの金切り声を表現した曲で、そのため人間の出しうる最高音が使われている、という豆知識を持っているせいで、どうしても「おいおい、ちょっと!」となってしまいます。

こういうことも、もしかしたら考えないほうがいいんだろうか、知らなくて気持ち良ければそれでいいんじゃないか、と反省しなくもないわけですが。オペラの名曲って、ストーリーを知っていると、ここでこの曲使うかよ!と突っ込みたくなる場面に案外色々と遭遇するのがネタとして面白いっちゃ面白いと思います。あくまでネタとして。

ちなみに、同じ「魔笛」の「パ・パ・パ」という曲が、子供の頃「パナップ」というアイスのCMに使われていて「パパパパパナップ」とか言ってたのは、むちゃくちゃ合ってたと思います。超どうでもいいですね。すみません。

先々週の、探検バクモンのミニコーナーの話も、また気が向いたら書きます。
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テレビ出演のお知らせ

来週7日午後8時15分放送予定
(再放送は14日午前3時40分)

NHK総合「探検バクモン」

番組内ミニコーナーに絵馬の話で出演します。
よろしければご覧くださいませ。


↓こちらでも見られます!

NHKオンデマンド
 https://www.nhk-ondemand.jp/

2017年6月8日(木)あさ10:00以降、2週間


●NHKワールド・プレミアム 
 http://nhkworldpremium.com/index.aspx?ssl=false&c=26

2017年6月7日(水)   よる 8:15~8:43

 

※   災害などの緊急時は、変更になる可能性があります。ご了承ください。

和の言霊に癒される「歌占カード ねこづくし」

おみくじになぜ和歌が出てくるのか、その原点は古代から受け継がれる「歌占(うたうら)」に。

我が国における歌占研究の第一人者にして、ときわ台天祖神社の歌占復刻も主導された、成蹊大学の平野多恵先生が、ついにやってくれました!

しかも、まさかこんなキュートなものが出てくるとは思いませんでした。


完全解説付き 歌占カード 猫づくし

かわいい。どう見ても、かわいい。
むちゃくちゃ好みな絵柄。

しかもこれがオラクルカードと来たらもう。
おみくじ好き、且つ、カード好きのハートど真ん中じゃないですか。
手に取らずにいられませんですよ(*´ω`*)



というわけで、さっそく開けてみます。



こんなに和小物が似合う占いカードって、ちょっと他にないです。

カード界隈には由来的に和モノであってもモダンなテイストの絵柄が多い中、粋な浮世絵/江戸絵画風で和を感じられるのは貴重。

見ているだけでほっこり落ち着いてきます。


ちなみに写真左上は、伊勢神宮の御朱印帳袋。
保管や持ち歩き用にマイベストマッチです。

こうやって自分なりにお気に入りの色柄など見つけて合わせてみれば、ますます占いの世界に気持ちが入っていきやすくなるのでは。



占うときは、ときわ台天祖神社の歌占と同じく、最初に質問を思い浮かべながら唱えごとをします。


「ちはやふる神の子どもの集まりて作りし占はまさしかりけり」
こちらを3回です。わかりやすい所に置いて。

さあ、精神集中!集中!唱えごとは大事!

にしても、このカードの何が凄いって、後で説明していきますが、本気で「神の子ども」が集まって作られてる感が半端ないところです。

まずは心を鎮めて唱え、この手元に集まった「神の子ども」たちに全力で呼びかけていきましょう。必ず応えてくれますから。



次に、カードを8枚並べます。
1列でも2列でもOKです。



室町時代の歌占では、引くための短冊を弓に8枚ぶら下げていたからだそうです。八卦の8でもあるとのこと。

2列でも割と細長めに並ぶことになるので(写真ではもっと細いテーブルマットですが)、お好きな和柄の手拭いとかを敷物に使うの、ほんとオススメです(*^^*)

こういう占いって、特に気持ちの問題だから、自分が嬉しくなる環境作りは何気に重要だと思ってます。

そして、あとは1枚引くだけ!
シンプルイズベスト。


カードに直接書かれた和歌と絵だけで大体なんとなくわかる、というのもポイント高いです。




とりあえず、個人的に好きなカードをいくつかご紹介してみますね。


まずは堂々の、第一番。

これ、神話好きな人なら絶対見覚えあるはず。
何をかくそう、古事記に日本最初の和歌として登場する超有名どころですから。

スサノオノミコトがクシナダヒメを妻に迎えるとき、立派な家を作ろうという意気込みを表し自ら詠んだ歌。
何かの基盤を打ち立てるとか、大切なものを守っていくとか、そういうイメージがこれだけでもバリバリ伝わってきます。
古事記って、繰り返しを多用するリズミカルな語感が愉しいです。



こちらも、神様が詠んだという歌。あの三輪山の三輪明神、超大御所じゃないですか!

どんなエピソードか気になった人は、ぜひ付属の解説書を。詳しく占えるばかりでなく、元になった色々な物語も、わかりやすく教えてくれます。

それをきっかけに古典を知ることが、より深く占うコツでもあり、ひいては日本独特のスピリチュアルな世界を探究していく道標にもなっていたりします。とても奥深いカード=本です。



日本の神様は、とにかくよく歌を詠みます。

これは、和泉式部が夫との関係に悩んで詠んだ歌に対して、貴船神社の神様が返歌の形でお告げをした歌。水の神様だけに、魂の苦しみを滝のしずくになぞらえながら、そんなにくよくよ悩むことはないよ、と励ましています。

和歌というのは元はといえば、言葉に乗せた、言霊を通した、神と人とのコミニュケーション手段なのです。平安貴族が和歌で愛を交わすのにも、自分たちを八百万の神々の世界の一部として、お互いの魂に直接呼びかける意味があったというわけ。

まだ短冊を引く形に簡略化される前の古代の歌占では、専門の巫女がインスピレーションだけで歌を詠んだり、それより前の時代に神々がお告げとして詠んだ託宣歌をパッと思い浮かべて出してきたりしたんだそうです。

平安時代のそういう面白いエピソードも、付属の解説書に色々載ってます(余談ですが、巫女による歌占は院政期に特に流行したとのことで、大河ドラマ平清盛が好きな人なら絶対ムフフなあたりの人物が盛り盛りでしたよw)。

和歌そのものや古語にも興味が出てくる構成。
自分が受験生の頃にこれがあれば、さぞや古典好きになれたろうにと思うと、マジ悔しい(笑)



上は、超ざっくり言えば、状況を邪魔しているものがあるから何とかしようよ、という意味。

ていうか、「ふしづけ」って何じゃい。
それって、うまいの?お漬物みたいだけど。

調べてみると、いわゆる「すまき」のこと。
いわゆる「沈めちゃる!」ってやつです。

でもなぜか柴漬けの意味もあったりして、やっぱりおいしそうでした。
日本語って面白いです(ナニカチガウ


冗談は置いといて、言葉に色々な意味が含まれているというのも、和歌の大きな魅力です。

色々なことを連想して想像を広げ、自由な解釈をすることで占いとしても幅が出てきます。


ですからこの「ふしづけ」だって、もしかしたら困難を乗り越えた先においしいことが待っている、みたいに思ってもべつにいいんじゃないかと…(だからもうええわ!と、どこからともなくツッコミの声がw)

キモカワな猫鬼も、いい味出してます。


時々ちょっとユーモラスだったりシュールだったりもする猫絵たちは、引くタイプの歌占がポピュラーになっていた室町~江戸期あたりのトレンドをイメージして作られているそうです。

動物など色々なものを擬人化した絵が、当時の人々に親しまれていました。
元祖ゆるキャラブームの時代。

百鬼夜行・付喪神絵巻あたりから鳥山石燕などに通じていく面白い妖怪絵も同時期ですね。サントリー美術館所蔵の鼠草子絵巻とか、国芳の猫絵とか、そのあたりが好きな人にはたまらない感じになってます。



こちらは、行き場のない情熱とか、もやもやとした希望めいたものとか、そんな感じでしょうか。誰もがいつぞやの自分の思いを重ねられるような、日々の中でよくある人生の機微を、繊細に詠み上げています。

絵的にも、やさぐれた妖艶な表情に、猫ならではの魅力がよく出ていて素敵です。

着物の柄が蛇というのも、粋な大人の色気を醸し出しています。蛇は執念などを表すというのも意味深。絵からも占いとして細かく読み解いていけるという、こだわりのモノ作りです。何度占っても、毎回違ったインスピレーションを与えてくれるはず。



以上は、ほんの一例。
どれも、神話や中世説話の中で神様が詠んだ歌や、近世の歌占本で実際に使われた和歌ばかり。ひとつひとつに、神々のお告げとしての特別なパワーが宿っています。まさに唱えごとにもある通り、「神の子ども」たちです。

そんな神秘的な和歌の数々を、編者の平野多恵先生は製作過程でまず約400首も歴史上から網羅したとのこと。
もはや現代の歌占の巫女になってますやんΣ(゜Д゜)

歌占カードは、そこから厳選に厳選を重ねた32首というから、その濃密さたるや。
これさえあれば一家に一人、歌占の巫女がお抱えで来てくれたようなものです。そう思うと、どんだけ贅沢な!

同時に、カードと解説書を手がかりにしながらも自由に解釈するのは自分自身ですから、占う本人も歌占の巫女になり(弟子入り、か!?)、言霊の力をやりとりして、神々の世界と自分の心を通わせることになるわけです。

その過程自体が、自分の心の声を丁寧にきく豊かな時間となり、感受性を磨いてくれます。言葉を媒介に天地自然と響き合う和歌を、心、ひいては自分自身の存在と重ねたとき、もっと大きな視座への気付きがあるかもしれません。

いわゆる今時の「おみくじ」と違って吉凶がないのも、歌占本来の面白さ。一見ネガティブそうな歌にこそ、その時々の気持ちに繊細に寄り添い、包み込むような癒しの世界があります。それは決して「悪いコト」ではないのです。日常の中で、自分をとりまく世界に潜みながらそっと共感してくれる神々の、優しい気配を感じることができるのではと思います。



もう少し辛口にズバッと答えを出したいときは、吉凶ハッキリめな他の占いカードを同時に引いて補うのもオススメです。たとえばルノルマンと合わせている人をネットで見ましたが、私はよくトンパタロットを合わせています。あくまで自分に合う、使い慣れたもので(^-^;

そのへんは、自分の性格やそのときのニーズに合わせて加減してみると、より幅広く活用できます。そんな占いとしての自由度の高さや懐の深さも魅力的なカードです。



こちらからお試し占いもできます。
↑クリックで公式サイトへ♪↑

これでピンとくるものがあったり、気になってもっと知りたいと思った人は、ぜひ実際に手に取ってみてください!

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鏑木麻矢

Author:鏑木麻矢
文筆家。現在、初の著書を執筆中。2012年5月から2014年12月まで、㈱H.I.S.公式ブログとして「麻矢の不思議カワイイ!?ご利益モノがたり」連載。現在、当ブログ内にすべて再録。縁起物をこよなく愛する。巷間の多種多様なおみくじを収集・研究中。絵馬コレクターでもある。かつて、仏像マニアのテレビ番組に出たことも。全ては神社仏閣・仏像巡り趣味から始まっている。旅と町歩き・路上観察、手仕事なモノ(郷土玩具、民藝)、美術鑑賞(月に最低2回位は美術館博物館に行くのが癒し)、古風なもの、レトロな雰囲気などが好き。何にせよ、知られざる面白いモノゴトを自分なりに発見していきたいです。他、天然石・鉱石やトランプ・カード等、気まぐれかつ雑多な収集癖あり。以前、下手の横好きでオペラを習ったこともあったり(今も観賞大好き)。何でもとことんハマるのが生き甲斐(悪癖?)。

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