【再録】内宮周辺を思いっきり楽しむ! 猿田彦神社・おかげ横町

御遷宮が無事行われ、新しく生まれ変わったばかりの伊勢神宮は、今が一番みずみずしく輝いている旬な時期です。外宮→内宮の順に参拝を終えたら、見どころいっぱいの内宮周辺を満喫してますます気分をリフレッシュしちゃいましょう。

この20年に一度の特別な旅からエネルギーを得て新たな一歩を踏み出すために、ぜひともお詣りしておきたいのが内宮から楽に歩いていける猿田彦神社。

2013年10月09日掲載分01


裏手には、神様に捧げるお米を作る御神田が。清々しい雰囲気です。
2013年10月09日掲載分02

前回までに紹介したサルタヒコ様とアメノウズメ様は(詳しくは椿大神社その1・その2<←前回と前々回の記事へのリンクをお願いします>参照)、伊勢神宮の歴史を考える上でもとても重要な神様。神宮ができる前からこの土地にはサルタヒコの子孫が暮らしていて、アマテラスオオミカミを祀るにふさわしい最高の聖地を求めて旅をしていた倭姫命(ヤマトヒメノミコト)に場所をおゆずりしたのが伊勢神宮のはじまりだそうです。

そのサルタヒコの子孫も現代まで続いて、この猿田彦神社の宮司を代々務めていらっしゃいます。まるで国譲りや天孫降臨の神話を繰り返すような不思議なエピソード。道を開くところに必ずサルタヒコあり!?

2013年10月09日掲載分03
「みちひらき御守」(これ以外にもカラーバリエーション多数)と「はじめの一歩御守」はマストアイテム。これで明日から本気出す!


2013年10月09日掲載分04
社殿の前には、八角形のパワースポットが。さわると八方除けの効果で強運に。


2013年10月09日掲載分05
手水舎の柱や鳥居など、色んなところが八角形です。他にもさがしてみて!


2013年10月09日掲載分06
境内にはアメノウズメ様を祀る佐瑠女(さるめ)神社も。芸道上達と縁結びにご利益。お守りも色々ありますよ。


2013年10月09日掲載分07
佐瑠女神社の社殿内部。御神体を納める御本殿も八角形。


2013年10月09日掲載分08
ちょっと変わった形の絵馬も奉納できます。

2013年10月09日掲載分09
御朱印は、猿田彦神社と佐瑠女神社の2種類。

2013年10月09日掲載分10
猿田彦神社の絵馬。かつてお伊勢参りをする人たちは、巫女さんにお金を払ってお神楽(かぐら)を舞ってもらい、神様に捧げることで祈りを届けていました。

江戸時代のお伊勢参りのにぎわいを感じるなら、猿田彦神社の脇の大通りから道を一本奥に入って、「おはらい町・おかげ横町」へ。

2013年10月09日掲載分11

おはらい町に入ると、タイムスリップしたかのような街並みが内宮の前まで続いています。赤福は定番。他にも、おやつ処がもりだくさんです。

2013年10月09日掲載分12
おはらい町から、おかげ横町へ。物見やぐらのような休憩所が目印。


2013年10月09日掲載分13

いつ行っても、まるでお祭りの縁日みたい。食べ歩きもよし、伊勢のお土産はもちろん、なつかしくて可愛い雑貨も色々買えます。

2013年10月09日掲載分14
景気よさげな宝くじ売り場には、なぜか眠り猫。
近くには景品が当たるおみくじ付きATMなんてのもありました。

2013年10月09日掲載分15
にゃんこ絵馬の願掛けスポットがあったり。ぐるぐる迷ってみるほどに、楽しい発見が。


2013年10月09日掲載分16
おかげ横町のシンボル的存在、江戸時代の劇場風の「おかげ座」。映像とジオラマを駆使したアトラクションで、日本の神話を体感。

今でこそ私たちは短い休暇でも、車や電車などを駆使してなんとか遊びにいくことができます。だけど江戸時代には、何ヶ月も歩き続ける旅は一生もの。それに、女性や子供、特に住み込みで下働きをする子供の「奉公人」など、社会的に身分の低い人たちは自由に外出することができませんでした。そんな中でも、「おかげ参り」、つまりお伊勢参りのための旅だけは、その間だけ勝手に逃げ出しても許されたのです。「抜け参り」といって、数少ないストレス解消の手段。誰もが一生に一度はと夢見た「おかげ参り」は、当時の人々の人生を確実に変えてきました。

お伊勢参りとわかれば、道中では誰かしらが世話をしてくれたし、さらに当時の伊勢の町では、宿泊も食事も無料。食べ物が豊かな土地柄の伊勢ならではですね(外宮にお祀りされているのは食べ物の神様ですし)。「施行(せぎょう)」といって、旅人にほどこし、おもてなしをする側にもご利益があるとされていました。そんな助け合いの精神に誰もが癒されてきたはず。人の温かさにふれて感謝し、神様の「おかげ」を知る、これこそが「おかげ参り」の真髄なのです。 

さらに、当時の人々にとって超貴重な自由時間、長い道中ついでに遊ぶというのも大事な要素でした。日常にたまった人生のアカを、遊びで祓い落としてくるのも立派にお伊勢参りの一部。現代の私たちも、そんな気分を思い起こしながら、おかげ横丁で思いっきり遊んだりおいしいもの食べたりするのがまさに開運行動の一部といえそうです。

そして、日頃近しい人々にお土産を買って、皆の幸運まで祈ってきたしるしを贈るというのも、江戸時代の「おかげ参り」から続いてきたこと。
2013年10月09日掲載分17

そんな気持ちを伝えるのにピッタリなのが、上の写真の「横丁のおみやげや」名物、「おかげ犬」グッズです。
2013年10月09日掲載分18

江戸時代に、どうしても「おかげ参り」に行けなかった人が飼い犬を代わりに行かせたというのが「おかげ犬」。道中の人々にお世話されながら旅をし、首から提げた袋に神宮のお札を入れて持ち帰ってきたとか。

2013年10月09日掲載分19
「おかげ犬みくじ」の犬は「しろ」「くろ」「ぎん」の三種類(写真のシベリアンハスキーっぽいのは「ぎん」)。人形の中に入ったおみくじの内容はオリジナルで、お伊勢参りの豆知識も楽しめます。

2013年10月09日掲載分20
お守り・縁起物的なものから日ごろ使える雑貨まで、ここに載せた他にも色々そろってます。わんこかわいいよわんこ。昔の人のやさしさが詰まった「おかげ犬」、贈る相手に幸せを運んでくれそうです。無事お伊勢参りに行ってこれた感謝を込めて、自分へのごほうびにもぜひ。身近に置いて和めば、帰ってからもお伊勢パワーを定期チャージできるかも。

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●猿田彦神社 http://www.sarutahikojinja.or.jp/

≪アクセス≫
・JR/近鉄 「伊勢市」駅または近鉄「宇治山田」駅/「五十鈴川」駅より三重交通バス「猿田彦神社前」下車
〒516-0026 三重県伊勢市宇治浦田2−1−10
0596-22-2554
≪イベント≫
御田祭 毎年5月5日 御神田で桃山時代風の田植えと豊年踊りが行われます。

●おかげ横丁 http://www.okageyokocho.co.jp/

≪アクセス≫
・JR/近鉄 「伊勢市」駅または近鉄「宇治山田」駅/「五十鈴川」駅より三重交通バス「神宮会館前」下車

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【再録】アメノウズメとサルタヒコ、天と地が恋するとき 椿大神社・その2

2013年09月25日掲載分01
椿大神社(つばきおおかみやしろ)の杉木立の参道を本社の手前で脇道にそれると、別宮の椿岸(つばきぎし)神社です。

2013年09月25日掲載分02
木々の緑に朱塗りが映えます。

2013年09月25日掲載分03
本社までの凛とした重厚感とは打って変わって、かわいらしく親しみやすい雰囲気です。

ここにお祀りされているのは、サルタヒコ大神のパートナーといわれる女神アメノウズメノミコト。椿大神社で出している絵馬のひとつに、2神の出会いの様子が描かれています。
2013年09月25日掲載分04

最高神アマテラスオオミカミの孫にあたる天孫ニニギノミコトが天上の世界「高天原(たかまがはら)」から地上へ天下ろうとしたとき、天と地の間に立ってその道を照らしながら待ちかまえていた謎の神サルタヒコ。それはニニギたちを案内してあげるためでした。ですが、その鼻が高くて目がギラギラと燃えている異様な姿をみた高天原の神様たちは、なんか怖い顔したへんなやつがいるぞと思いました。そこで、コイツの正体を先に行って確かめて来い、と天から使わされたのがアメノウズメ。このときアメノウズメは、アマテラスから「いむかふ神と面勝つ神なり(おまえならば、あのワケわからん神に面と向かっても顔と気迫で勝てる!)」なんて言われてます。一体どんな顔だったんでしょうね。美貌で色じかけということなのか、それとも最強ガン飛ばしなのか。はたまた、にらめっこの達人?なんとも不可解な魅力をもった女神様です。

2013年09月25日掲載分05

こうして出会い、サルタヒコに自己紹介させたアメノウズメ。このとき、古事記では単にそれだけの描写しかないのですが、ひとめぼれして結ばれたことを表していると言われています。そして共に旅をし、ニニギを高千穂まで連れて行って無事に降臨させた後も、なぜか2神の珍道中は続きました。途中、サルタヒコが海で貝に手をはさまれて溺れるなんてトラブルもあったものの、アメノウズメは彼を故郷まで送り届け、そのまま一緒に暮らしたのがここ椿大神社とか。神々を魅了する力をもち、こうして天上と地上を初めて結びつけたアメノウズメ様ですから、縁結びのご利益は折り紙つきです。ずっと仲良しでいたいカップルにも、温かな応援をしてくれるはず。

さらに、アメノウズメノミコトといえば、岩戸開き神話でも有名。トランスしながら色っぽく踊り、神々を笑わせ、岩戸に引きこもった太陽の女神アマテラスオオミカミを外へと誘い出しました。自分の体に神を乗り移らせ、そして神を喜ばせるというのは神楽(かぐら)の原型にして芸能・芸術の世界そのもの。あらゆるアートやパフォーマンスの元祖カリスマな女神様です。また、サルタヒコとの関係から、アメノウズメの子孫は代々「猿女君(さるめのきみ)」とよばれ、皇室の儀式で踊りを担当しています。神楽から発展してできた能や狂言のことを「猿楽(さるがく)」と言ったりするのは、このためです。

2013年09月25日掲載分06
こうした伝統芸能に使う扇も、もともとは神様を招き寄せる道具でした。上の写真の扇塚では、扇以外にも楽器や茶道具、筆など使い古した芸事の道具を奉納して感謝し、さらなる上達を祈ります。アーティスト魂がぎゅっと詰まったパワースポットで意欲アップ!

2013年09月25日掲載分07
扇塚の隣には、もうひとつの開運スポット招福の玉。この玉を三回なでながら「はらえたまえ、きよめたまえ、六根清浄(ろっこんしょうじょう)」と三回唱えれば、心が清らかになり、迷わずに願いを叶えていく力が得られます。ひたむきに自分を磨いて、アメノウズメ様のような魅力的な女性を目指したいですね。

2013年09月25日掲載分08
椿岸神社の社殿のすぐ右わきには、小ぶりでかわいい「かなえ滝」。ご本社の裏にある、ふだんは見られない「金龍明神の滝」の下流に当たります。同じ水だし、こちらもパワーありそう!
2013年09月25日掲載分09
サルタヒコ様のお使い、この滝にもケロッといました。

はじめは天上で太陽の女神アマテラス様にお仕えしていたのに、地上に降りて、忘れられた古い太陽神ともいわれる謎多きサルタヒコ様と一緒になるなんて、アメノウズメ様って実はかなり不思議な存在。いつの時代も歴史の秘密を知っているのは、そんな変幻自在の魔性の女なのかもしれません…。

最後に、女子旅に欠かせない椿大神社のかわいいパワーアイテムをご紹介。

2013年09月25日掲載分10
まずは、女性のボディラインをかたどった「みめよい守」。いつまでも美しく健康にいられるよう女神パワーが閉じ込められています。婦人病除けにもご利益アリ。そういえば何だか見ているだけで女性ホルモンが整ってきそうな形!?のぞき穴には、あのラブシーンが…。

2013年09月25日掲載分11
「椿恋みくじ」。折り紙状のおみくじを開くと、中から小さな椿のお守りチャームが登場。「道開き」に通じるコトダマをもつ椿が、恋路へとみちびいてくれるかも。

2013年09月25日掲載分12
こちらも椿。しかもピンク色ですよ!かわいい御朱印帳をさがしている人には絶対オススメ。

太古の雄大なエネルギーに女神の力をも包み込む、謎めいた神話の舞台、椿大神社。お伊勢詣りと一緒に、ぜひ訪れてみてください。

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●椿大神社 http://www.tsubaki.or.jp/

≪アクセス≫
・JR 「加佐登」駅または近鉄「平田町」駅より「鈴鹿市C-BUS椿・平田線」約50分、「椿大神社」下車
〒519-0315 三重県鈴鹿市山本町1871
059-371-1515

≪イベント≫
秋季例大祭 毎年10月11・12日 神輿の巡行などがあります。
みそぎ修法会 毎月11日、20時開始(4月・10月は休会) 

テーマ : 神社・仏閣巡り
ジャンル : 旅行

【再録】神秘の山に抱かれた、天と地の出会う場所 椿大神社・その1

伊勢神宮のご正殿も新しくなり、式年遷宮はこれからクライマックスをむかえようとしています。伊勢周辺には神宮のほかにも記紀神話とゆかりの深い場所がいっぱい。今回は、日本書紀では神宮成立の2年後というほぼ同時期にできたとされながらも、実はもっと古いかもしれない謎多き神社に迫ってみましょう。

最寄りの駅からバスにゆられること約一時間、山深い里に椿大神社(つばきおおかみやしろ)は鎮まっています。

境内入り口の手水舎では、主祭神サルタヒコ様のお使いがケロッとご奉仕中。
2013年09月11日掲載分01

サルタヒコとカエルについては、二見興玉神社の記事も合わせてご覧ください。

ちなみにサルタヒコ様のお姿は、こんなイメージです。
2013年09月11日掲載分02
上の写真は椿大神社で出している絵馬のひとつ。古い太陽神らしい堂々たる立ち姿、そして鼻の高い不思議なお顔。天狗と同一視されることも多いです。なんで北米大陸が描いてあるのかというと椿大神社アメリカ分社があるからだったりしますが、この壮大なデザインからは大地を踏みしめる力強さが感じられます。

2013年09月11日掲載分03

空気の澄みきって気持ちよい、鬱蒼とした杉木立の参道。
社殿を目指して歩いていると、途中に早くも強力なミステリースポットが。

まずはこの、木の柵に囲まれた禁足地。
2013年09月11日掲載分04
隠れていて見えにくいですが、柵のむこうの紙垂(しで)が巡らされた中には小さな岩座(いわくら)があります。岩座というのは、日本人の原始的な信仰で、神様が降り立つ岩としてあがめられていた最も神聖な場所です。「御船磐座(みふねいわくら)」といわれるこの岩座、地上に住む「国津神(くにつかみ)」サルタヒコの案内で天からやってきた「天津神(あまつかみ)」ニニギノミコト一行が、ここに船をつないだとか。このニニギノミコトも、椿大神社では一緒に祀られています。まるでこの場に、彼らの出会いと地上までの道中が再現されているかのようです。

椿大神社は、その背後にそびえる高山(入道ヶ嶽)短山(椿ヶ嶽)という2つの山そのものが御神体。この山の中には、こうした大小の岩座があちこちに点在しています。神社というものが生まれるよりもはるか昔から、祈りの場として大切にされてきた聖地の証です。

そしてもう少し奥へ進むと、小さな古墳が。
2013年09月11日掲載分05
サルタヒコのお墓といわれる「土公神陵」。サルタヒコはニニギノミコトを九州の高千穂へと無事に送り届けた後、故郷だったこの地に帰って暮らし、子孫を残したといわれています。それがここ椿大神社の宮司さんの家系とのことです。こうして古代以前からの聖地や神話に出てくる神様の子孫が1300年以上も信仰とともに守り継がれてきているのは世界でも日本だけ。すごいことだと思いませんか?


2013年09月11日掲載分06
ご本社の社殿。木々の緑とおおらかな石畳が、すがすがしい気持ちにさせてくれます。社殿の裏にある「金龍明神の滝」には、願いを叶える力があるそうですよ。ご祈祷をしていただいたり、みそぎに参加したりすれば、その優美な清流を拝むことができます。森と水の恵みに満ちあふれた境内では、古くから日本人がおそれ敬ってきた原初的なエネルギーをそこかしこで感じられるはず。


2013年09月11日掲載分07
ところで、ここはなぜ「椿」大神社というのでしょうか。それは、サルタヒコ様が道案内の神様だから。ニニギノミコト様が地上に降臨するための「道を開く」、これを古い言葉で「道分き(ちわき)」と言い、それが転じて「つばき」になりました。

2013年09月11日掲載分08
御朱印の印部分に書かれた「地祇大本宮」というのは、地上の神様「国津神」を代表する神社ということ。


2013年09月11日掲載分09
天上と地上をつなぎ、新しい世界への道を開いたサルタヒコ様。「みちひらき守」で、その開運パワーを受け取ってみては。八角形は、すべての方位の災厄を除いてその場の気を安定させる形。真ん中の○△□が重なった図形は、天と地の調和を表しています。日頃の交通安全はもちろん、迷ったり八方ふさがりで凹んだりしている人には、よりよい方向へと順調に進めるよう背中を押してくれそう。次回は、そんなサルタヒコ様のちょっぴり奇妙な恋のお話です。

↓続きはコチラ↓
アメノウズメとサルタヒコ、天と地が恋するとき 椿大神社・その2
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●椿大神社 http://www.tsubaki.or.jp/

≪アクセス≫
・JR 「加佐登」駅または近鉄「平田町」駅より「鈴鹿市C-BUS椿・平田線」約50分、「椿大神社」下車
〒519-0315 三重県鈴鹿市山本町1871
059-371-1515

≪イベント≫
秋季例大祭 毎年10月11・12日 神輿の巡行などがあります。
みそぎ修法会 毎月11日、20時開始(4月・10月は休会) 

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【再録】もうひとつのドーマンセーマンと、海女さんの神話の里 海士潜女神社

前回の「石神さん」の「相差(おおさつ)」からバスの終点「国崎(くざき)」まで足をのばすと、そこはまるで時間が止まっているかのような海辺の町。
2013年05月22日掲載分01
現役の海女さんが50戸100人はいらっしゃるというこの町、すれ違う人々のほとんどが普通に海女さんや漁師さんだったりします。
2013年05月22日掲載分02
上の写真では、干したワカメを取り外し作業中。

そんな町で、海女さんたちに厚く信仰されている神社がここ、海士潜女(あまかづきめ)神社。
2013年05月22日掲載分03

実はこの神社のお守りにも、ドーマンセーマンが描かれています。この地域の海女さんたちも持っている木札のお守りです。ダイビングや水泳をする人はぜひ身に付けてみて。海と水に関するあらゆることにご利益があり、身の危険から守ってくれます。
2013年05月22日掲載分04
「石神さん」お守りにもあった、五芒星と格子模様からなるドーマンセーマン。五芒星「セーマン」は一筆書きできることから無事もとの場所に戻って来られる、格子模様「ドーマン」はたくさんの目が魔物の侵入を防ぐと言われています。

2013年05月22日掲載分05

上の写真は、海士潜女神社の社殿。祀られているのは、海女の祖といわれる「お弁」という女性です。約二千年前、倭姫命(やまとひめのみこと)が天照大神(アマテラスオオミカミ)を祀るにふさわしい聖地を求める旅の道すがら、ここ国﨑へいらしたときのこと。出会った海女さん「お弁」が差し上げたアワビのあまりのおいしさに感動された倭姫命は、神宮のお供えとしてこの場所のアワビを毎年献上するよう定めました。

そのアワビにちなんだ海士潜女神社のお守りがこれ。
2013年05月22日掲載分06
「あわび貝のお守り」「健康長寿のお守り」などと呼ばれています。豪華な雰囲気が嬉しいですね。お守り袋の中には、本物の「熨斗鰒(のしあわび)」が入っています。アワビを延ばして干した「のしあわび」は、伊勢の神様の大好物。不老不死の妙薬ともいわれ、幸せが末長く続くようにと祈る縁起物。お守りを乗せている貝殻は、神宮に献上する「のしあわび」を作るときに出た貴重なものです。アワビの殻は、この地域の家庭で御供え物を盛るお皿として使われています。

この「のしあわび」、実は身近なところにも。お祝い袋などについている「のし紙」、今でこそ絵だけのものが多いですが、もとは「のしあわび」でした。
2013年05月22日掲載分07
余談ですが、今も本物の「のしあわび」を使った御祝儀袋を、日本で唯一、相差(おおさつ)の「兵吉屋」(http://hyoukichiya.com/)というお店が作っています。

海士潜女神社のすぐ近くには、「伊勢神宮御料鰒調製所」があります。
2013年05月22日掲載分08
ここで伊勢神宮に神様の食べ物として献上する「のしあわび」が作られます。

2013年05月22日掲載分09
上の写真は、薄く切って細長く延ばしたアワビを干す場所。干し上がったら、短く切り、決まった数をひもに通せば完成です。その工程や形などは、伝統として厳しく守られてきています。

この一帯は、「鎧崎(よろいざき)」と呼ばれる海に突き出た小さな半島のような地形。
地名の由来は、これまた倭姫命でした。

2013年05月22日掲載分10

「御料鰒調製所」から木漏れ日の中を少しばかり歩くと、記念碑があります。
2013年05月22日掲載分11
倭姫命がここで鎧を脱いだから鎧崎と言うんだそうです。思わずリラックスしてしまうほど素敵な場所、ということでしょうか。

2013年05月22日掲載分12
鎧崎灯台。このあたりは波の荒い難所として有名。
2013年05月22日掲載分13
それだけに、雄大な眺めが広がります。

こうして倭姫命の足跡をたどってみると、この地での海女さんとアワビのエピソードといい、二見浦の地名の由来といい(二見興玉神社参照)、彼女が神宮の場所として伊勢を選んだのは、もしかしたら「美しい・おいしい」が決め手だったのではと思えてなりません。

2013年05月22日掲載分14
上の写真は、鎧崎の全景。左のほうに見える、半島と接して整備された海岸が「前の浜」です。

2013年05月22日掲載分15
「前の浜」入り口には、海女さんが採ってきた天然ワカメを干すための棚が並びます。そのうしろに見える小屋は、海女小屋。海女さんが仕事の合間に休憩し暖を取る場所です。海女小屋のすぐ右わきの鳥居をくぐり階段を上れば、先ほどの「御料鰒調製所」。
2013年05月22日掲載分16

ここで海女さんが作業する様子を見たいなら、今年6月29日に行われる「御潜神事(みかづきしんじ)」へ。伊勢神宮に献上する「のしあわび」を1から奉製する神事です。普段は禁漁の神聖な場所「前の浜」で海女さんたちが一斉にアワビを採る姿は壮観。この日は、「のしあわび」を作る様子も屋外で公開実演されます。7月1日には、伊勢神宮から舞姫がやってきて海士潜女神社で神楽を奉納。毎年11月23日には、「前の浜」で2隻の船が競争する勇壮な神事「二船祭」も見逃せません。

付近には海水浴場もあるので、夏は特に気持ち良いですよ(海開きは7月中旬です)。鳥羽市内や二見浦などの宿に泊まれば、海の幸もたっぷり味わえます。この式年遷宮の年に、大自然と神話に彩られた「美しい・おいしい」伊勢・志摩のロマンをもっとディープに感じる旅へ、ぜひ相差(おおさつ)や国﨑(くざき)まで足を運んでみてください!

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●海士潜女神社、伊勢神宮御料鰒調製所など http://kuzaki.jp/ (三重県鳥羽市国崎町町内会)

≪アクセス≫
・JR/近鉄「鳥羽」駅すぐの「鳥羽バスセンター」より「かもめバス」で約60分、「国﨑(くざき)」下車徒歩5分
0599-33-7428 (国崎町内会・熨斗あわび保存会)

≪イベント≫
御潜神事 2013年6月29日(土)(日程は毎年変わります)
     海女さんたちのアワビ取りは午前9時から開始。
海士潜女神社例大祭 毎年7月1日
二船祭 毎年11月23日

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【再録】女性の願いを叶える謎の女神 石神さん(神明神社)

伊勢・志摩をおとずれたなら今や絶対はずせない最強パワースポットとなった「石神さん」。今なお海女(あま)さんが多く住む海辺の静かな町「相差(おおさつ)」にあって、その一角はひときわ異彩を放つにぎわいを見せています。

2013年05月01日掲載分01

石神さんのある神明神社の境内は、森に囲まれた気持ちの良い場所。手水舎で手と口を清めたら、さっそくお詣りしてみましょう。

2013年05月01日掲載分02
石神さんは小さな祠(ほこら)ながら、その存在感は抜群。絶対忘れちゃいけないのは、周りに備え付けられているこの用紙に、お願いをひとつだけ書くこと。

2013年05月01日掲載分03
女性の願いなら必ず1つ叶えてくれるといわれています。
ここはじっくり考えて1つに絞るのがミソ。

2013年05月01日掲載分04
こうしている間にも、女性たちがひっきりなしに参拝していきます。

お願い事が書けたら、祠の鈴を鳴らしてお賽銭を入れ、そのわきの「願い箱」に用紙を折って入れてください。二礼二拍手一礼し、御神体に向かって一心に祈るべし!

2013年05月01日掲載分05
こちらが石神さんの御神体。海からやってきた不思議な石です。昔、ある元日の晩、この石に女神様が現れ、「女性の願いなら必ずひとつ叶えよう」とお告げを下されたとか。女神様はそのとき白い着物を着て、島田髷という江戸時代の大変ポピュラーな髪型をしていたそうです。そんな親しみやすい女神様は、相差の海女さんたちの心のよりどころとなりました。命がけの仕事に生きる海女さんたちを見守ってきた女神様は、これからどんな世の中になっても女性の強い味方なのです。

この女神様は、古事記に登場する海の女神にして初代天皇の母「玉依姫命(たまよりひめのみこと)」という神様だとされていますが、詳しいことは謎に包まれています。あるいは、「玉依姫」というのは神様をその身に宿す巫女(みこ/ふじょ)一般をさす名前だとも。いずれにせよ、海の彼方には神様の住む異世界があると信じられていたので、そこから来た石には神秘の力が宿るとされました。海の世界と現世を行き来する女性である海女さんにも、神と人とをとりもつ巫女のような特別な力があると思われていたかもしれません。

また、石が何か女性的な力をもつという信仰も各地にありました。石神さんの祠のある神明神社の境内を探検していけば、実は他にも、そんな謎に満ちた石たちに出会うことができます。

2013年05月01日掲載分06

神明神社の社務所の中には、かつて神様と仏様の区別があまりなかった頃の名残りで、仏像が祀られています。その足元の箱には…

2013年05月01日掲載分07

穴のあいた石がたくさん。これらは海女さんが海から採ってくるものだそうです。何らかの自然の作用で穴のあいた石を神様にお供えすると、耳・鼻の不調や女性特有の病を治すご利益があるといわれています。

2013年05月01日掲載分08
ちなみに、以前ご紹介した多度大社の境内にも、同じような信仰のある「美御前社(うつくしごぜんしゃ)」という場所があります。やはり自然に穴のあいた石を奉納すると、女性特有の様々な願いを叶えてくれるとか。

石にあいた穴は、女性のシンボルを表していると考えられています。これを人の手で作り出すような信仰も、江戸時代以前にはありました。
2013年05月01日掲載分09
上の写真は、神明神社境内の稲荷神社の前にある古い手水鉢。そのふちには、写真でわかるだけでもこれほど多くの穴が開けられています。これは「盃状穴(はいじょうけつ)」信仰といって、昔の人が個人的に特別な願いを込めて刻んだ穴だそうです。

こうして石と女性の神秘的な力に満ちている境内の中、今もって輝きを増していく石神さん。そのお守りにも、女性を全力で応援する不思議なパワーがこもっています。

2013年05月01日掲載分10
海女さんの磯着をイメージした麻製のお守り袋に描かれた網目状と星形の印は、「ドーマンセーマン」とよばれる呪術的な護符。近くにある青峰山正福寺の修験者から伝わったのではないかと考えられています。海女さんたちが、海の魔物から身を守り無事生きて帰ってくるために、実際に磯着に縫い付けて使っている文様です。

この柄を染め上げているのは、イボニシ貝から少量しかとれない「貝紫」という貴重な染料。紫が高貴な色とされてきたのも、このためです。そんな事情もあってしかも全て手作りというこのお守りは、作れる数が限られているので、朝のうちに参拝に行ったほうが確実に入手できるようです。

2013年05月01日掲載分11
このお守りのストラップ版には、石神さんの御神体が打ち上げられたのと同じ海岸に流れ着いた小石が入っています。この石にも、異世界の力が宿っているかも!?鳥羽の海で採れた本真珠つきです。美容・恋愛や災難除けなどに効く宝石。母性的な癒しと守りのエネルギーがあるといわれる真珠は、石神さんのイメージにもぴったり。

社務所には願いが叶ったからと神社にお返しされたお守りが、両手を広げても抱えきれないくらい山ほど届いていました。宮司さんも嬉しい悲鳴。「これは何かあるとしか思えない」と常々仰っています。アナタのお願い事も、きっと叶うはず!

神明神社では、毎年5月7日に「石神さん春まつり」が行われます。勢ぞろいして豊漁を祈願する海女さんたちの凛々しい姿は必見です。このお祭りの日取りは、月に三回ある海女さんの安息日に合わせています。安息日には、海女さんたちをねぎらって男衆が手料理をふるまうのだそうです。男になど負けずに、心技体ひとつで一家を支える海女さん。その美しさ・かっこよさに、思わず憧れてしまいます。

2013年05月01日掲載分12
石神さんの御朱印は、貝紫をイメージ。「朱」のない珍しい御朱印です。
次回も、引き続き海女さんに関わる神社を訪ねていきます。
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●石神さん(神明神社) http://www.toba-osatsu.jp/

≪アクセス≫
・JR/近鉄「鳥羽」駅すぐの「鳥羽バスセンター」より「かもめバス」で約45分、「相差(おおさつ)」下車徒歩7分
〒517-0032 三重県鳥羽市相差町1238
0599-33-7453

≪イベント≫
石神さん春まつり 毎年5月7日

テーマ : 神社・仏閣巡り
ジャンル : 旅行

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鏑木麻矢

Author:鏑木麻矢
文筆家。著書「ニッポンのおみくじ(グラフィック社刊)」発売中。2012年5月から2014年12月まで、㈱H.I.S.公式ブログとして「麻矢の不思議カワイイ!?ご利益モノがたり」連載。現在、当ブログ内にすべて再録。縁起物をこよなく愛する。約20年来、巷間の多種多様なおみくじを自らの足で歩いて独自に収集・研究中。絵馬コレクターでもある。かつて、仏像マニアのテレビ番組に出たことも。全ては神社仏閣・仏像巡り趣味から始まっている。旅と町歩き・路上観察、手仕事なモノ(郷土玩具、民藝)、美術鑑賞(月に最低2回位は美術館博物館に行くのが癒し)、古風なもの、レトロな雰囲気などが好き。何にせよ、知られざる面白いモノゴトを自分なりに発見していきたいです。他、天然石・鉱石やトランプ・占いカード等、気まぐれかつ雑多な収集癖あり。以前、下手の横好きでオペラを習ったこともあったり(今も観賞大好き)。何でもとことんハマるのが生き甲斐。

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