皆中稲荷神社(東京都新宿区)

皆中稲荷神社

新大久保駅のすぐ近くにある、人気のパワースポット。
この地に徳川幕府の鉄炮組百人隊があり、射撃が百発百中になったというご利益から、いつしか宝くじやギャンブルがよく当たると有名に。絵馬の絵柄もそのものズバリで、いかにも当たりそう!シンプルなだけに、相当なインパクトがあります。見ているだけで、なんだかテンションが上がって、ぐんぐん運が良くなりそうな勢い。

実はこの絵馬、私が今までに受けた「こういう絵馬はどこにありますか」的な質問でも一番よく訊かれています。それだけ需要の多い願い事なんですね。当たるといえば、宝くじだけの話じゃない。受験だって仕事だって、人生すべては運まかせ。

皆が書いていく絵馬の中身も、やはり一番目立つのは宝くじ・ギャンブルだけれど、受験もかなり多いし、よくよく見ると「的に当てる」ということから連想されるような、願望・目的があってなおかつ運が必要みたいなあらゆる夢のある願い事を吸収している感じを受けました。そういう点では、恋愛だって似たようなものだし(キューピッドの矢?)。人生はギャンブル。そういう意味での、絵馬掛け所から垣間見える欲望の生々しさは目を見張るものがあります。

ここの願掛けの「生きのよさ」には、合格祈願と縁結び・縁切り祈願に並ぶ勢いがあるかもしれません。

秩父神社(埼玉県秩父市) つなぎの龍

つなぎの龍

先日ラジオでもご紹介しました、今年イチオシの絵馬です。
フィギュアになっているというのも珍しいですが、何といっても嬉しいのは、その再現性。

秩父神社の社殿彫刻「つなぎの龍」は、江戸時代の伝説の名工「左甚五郎(ひだりじんごろう)」が作ったといわれる、大変迫力のあるもの。この人(というか実在するかどうかもあやしいんですけれど)の作品には夜な夜な勝手に抜け出して動き回ったというような言い伝えが付き物だったりしますが、こちらの龍もその例に漏れません。暴れまわって近隣の田畑を荒らしたというので、ついには鉄の鎖で縛られてしまったのです。

この鎖の様子まで、しっかり金属の鎖で表現してしまっている演出の細かさが、この絵馬のすごいところ。
こうもクオリティが高いと、もとの彫刻に秘められた生命力まで封じ込めたかのようです。
それにもかかわらず価格は1200円って、単に絵を印刷しただけで1000円くらいすることも多い最近の絵馬の値段から考えれば、かなり破格ではないでしょうか。

今年は辰年ですし、これを家に飾ってお正月のおめでたい気分を盛り上げつつ、新年の抱負を胸に開運を願って元気よく過ごすのに最適な絵馬だと思います。もちろん願い事を書いて奉納してしまってもOK!
また、「鬼門守護」とあるのは「つなぎの龍」の彫刻が社殿の鬼門(北東)の方角を守っていることによるので、家の鬼門に掛けて魔除けにするのもいいかもしれません。

秩父神社のウェブサイトはコチラ。

円珠院(東京都江東区) 干支・龍

円珠院 手描き干支 龍

手のひらサイズも可愛らしい、この手描き絵馬は深川七福神の大黒天を祀る円珠院というお寺で出されているもの。お正月には元旦から15日までの七福神めぐりでにぎわう中、おとぼけ顔で温かみのあるタッチの龍が目に入ると心もなごみます。干支なので毎年絵柄が変わるのも楽しみ。境内に絵馬掛け所のようなものは特にないので、持ち帰って飾り、新年のワクワク気分を高めて気持ちを新たにするのが良いと思います。

ところで龍って、小絵馬の世界では実は新参者の部類なんです。というのも、美術的な派手派手しさが求められる大絵馬ならともかく、個人が願いを込めて密かに奉納したり家に持ち帰って祀ったりする量産型の小絵馬は庶民の生活と信仰に密着したもの。龍の絵柄の手描きの小絵馬というのも一見すると古くからありそうな感じを受けますが、干支の絵馬が登場するまでは、意外にもそういったものは見当たらないようです。龍は想像上の動物ですし、そのへんにいる蛇だとか家畜なんかに比べるとそれほど身近ではなかったのかもしれません。

馬の絵にはじまると言われる絵馬にはさまざまな絵柄がありますが、かつての小絵馬はその絵柄ごとに意味が込められていました。今日のように文章で願い事を書くのではなく、絵がその役割をはたしていたのです。そして文章も自分の名前も書かずに、年齢あるいは生まれ年の干支と性別だけを記すのが普通でした。絵柄によって奉納先の寺社が決まっていることもありました。

これでは面倒だということで、どこの寺社にでもどんな願い事にでも対応できるオールマイティーな小絵馬が登場してきます。そのひとつが、干支を描いた絵馬。現在ではお正月にその年の干支の絵馬で願い事をするのが普通ですが、これは実は戦後に絵馬が機械で量産されるようになってからの話。それ以前は、その年の干支とは関係なく、その人の生まれ年の干支の絵馬に年齢と性別だけを書いて奉納していました。願い事は、自分自身と神仏だけの間の秘密ということなのでしょう。そんな経緯ですから、龍と犬と兎と羊を描いた小絵馬をみるには干支絵馬の登場を待たなければなりません。特に羊は日本であまりメジャーな家畜とはいえないので、現在でも絵馬の絵柄としては干支以外ではまず見られないと思われます。

ですが、やはり龍は縁起の良い動物で絵的にも美しいので、小絵馬として手元に置いても嬉しいもの。にらみをきかせた凛々しい龍もいいですが、この円珠院の手描き絵馬のような、一目でほっこりするお茶目な龍も新年のハッピーな気分を盛り上げてくれそうです。


※残念ながら、描き手が高齢のため2013年か2014年頃廃絶してしまいました。

文化放送くにまるジャパン「おもしろ人間国宝」出演記念

くにまるジャパン記念写真

1月5日くにまるジャパン「おもしろ人間国宝」出演時の記念写真です。

番組サイトにも載せていただきました。

くにまるさんが持っているのは、今年のイチオシ秩父神社「つなぎの龍」。私のは、絵馬の絵解きにハマるきっかけとなった安井金毘羅宮「もうかり絵馬」。石井アナは、今年こそ「ラブ注入!!」ということでハートをがっちりロックする館山寺の「心に鍵」縁結び絵馬。

絵馬の成り立ちから、集め始めたきっかけ、絵柄や形にみられる駄ジャレの楽しみなどをお話しました。ラジオという音だけのメディアで、ビジュアルありきの絵馬を想像してもらうのは難しいことでしたが、スタッフの皆様の温かいお力添えのおかげで、無事に放送を終えることができました。また、聴いてくださった方も、どうもありがとうございました。

ラジオ出演のお知らせ

新年あけましておめでとうございます。
しばらく更新止まってしまいましたが、そろそろ身辺も落ち着いてきたので、今年はもっとたくさん、そしてもっと深く、絵馬の魅力を伝えていきたいと思います。本年も引き続き、よろしくお願い申し上げます。

さて、新年早々、ラジオ出演することになりました。

2012年1月5日(木)

文化放送 AM 1134 kHz
「くにまるジャパン」番組内
10:03~10:23「おもしろ人間国宝」コーナーにて

20分間、たっぷり語らせていただきます。おみくじネタも少々あったりなかったり。
初詣の期間も残り少なくなってしまいますが、この時期にぴったりの楽しみをお伝えできればと思います。
お時間のある方は、ぜひぜひ聴いてみてくださると嬉しいです♪


2012年干支版画

写真は、今年の干支をゴム版画で自作し、絵馬に刷ってみたものです。
先日、谷中の絵馬堂さん(http://www.higashiueno.com/~kigandou/annai.htm)にも、ラジオ出演のご挨拶がてらお納めしてきました。このお店についての過去の記事はコチラです。
今年の目標は、絵もたくさん描いていくこと!
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鏑木麻矢

Author:鏑木麻矢
文筆家。著書「ニッポンのおみくじ」(グラフィック社刊)もうすぐ発売。2012年5月から2014年12月まで、㈱H.I.S.公式ブログとして「麻矢の不思議カワイイ!?ご利益モノがたり」連載。現在、当ブログ内にすべて再録。縁起物をこよなく愛する。約20年来、巷間の多種多様なおみくじを自らの足で歩いて独自に収集・研究中。絵馬コレクターでもある。かつて、仏像マニアのテレビ番組に出たことも。全ては神社仏閣・仏像巡り趣味から始まっている。旅と町歩き・路上観察、手仕事なモノ(郷土玩具、民藝)、美術鑑賞(月に最低2回位は美術館博物館に行くのが癒し)、古風なもの、レトロな雰囲気などが好き。何にせよ、知られざる面白いモノゴトを自分なりに発見していきたいです。他、天然石・鉱石やトランプ・占いカード等、気まぐれかつ雑多な収集癖あり。以前、下手の横好きでオペラを習ったこともあったり(今も観賞大好き)。何でもとことんハマるのが生き甲斐。

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