星の導きで、迷いを解消!

陶製の絵馬といえば、東京都の雑司ヶ谷鬼子母神にも。単に陶製というだけですでに珍しいというのに、そのうえ土鈴になっています。それなりの大きさがあるだけに、振れば低く響くなかなか良い音。本堂入り口の授与所で購入することができます。

                       

 

 

ただの土産用に作られた絵馬型の土鈴と思うなかれ。これはれっきとした絵馬です。その証拠に、雑司ヶ谷鬼子母神の妙見堂の格子には、マジックで思い思いの願い事を書きつけられたこの土鈴絵馬がずらり。妙見堂は本堂の真裏にあるのでともすれば見落としがちですが、この穴場感と絵馬の重量感がかなり強力に御利益のありそうな雰囲気をかもし出しています。

 

妙見というのは「妙見菩薩」のことで、これは北極星の神様を仏教に取り入れた呼び名。もとは中国の民間信仰や呪術で信仰されていました。絵馬についている七つの円のマークは七曜紋といって、日月と5つの惑星、あるいは北斗七星を表しているとされます。いずれにせよ、星ですね。

 

星を神格化した神様の中でも、常に宇宙の中心にいる妙見はもちろん最高位。人間の運命を司るその力は、北極星が必ず北の方向を示すように人生を導いてくれます。仕事や学業で進路に迷ったときなど、心強い支えとなるでしょう。転職成功祈願にオススメ。学問の神様でもあるので、合格祈願もOKです。名所の裏に隠れた知る人ぞ知るスポットで、落ち着いてじっくりと願かけを!土鈴の音が、絵馬ひとつひとつに込められた気持ちをきっと星まで届けてくれるはず。

 

スポンサーサイト

彗星に乗ってトップを狙え!

丸い絵馬をもうひとつ。陶製というのも珍しい埼玉県飯能市の長念寺が出している絵馬は、「願昇」と名付けられています。

 

 

 

主役は、韋駄天(いだてん)という仏教の神様。韋駄天走り(いだてんばしり)という言葉もあるくらい、足の速いことで有名です。お釈迦様の遺骨「舎利」が盗まれたとき、韋駄天は犯人の鬼神を追いかけて天の一番高いところまで走っていき、見事つかまえました。これにあやかって長念寺の絵馬掛け所では、長距離短距離を問わず陸上競技で活躍したい人の祈願が絶えません。

 

さらに、この韋駄天の足下にご注目。なにやらリボンのようなものに乗っています。これを右上までたどると、星マークが2つ。韋駄天が乗っているのは、彗星のしっぽなんです。

 

なぜ彗星かというと、戦時中に梵鐘を供出され長らく空っぽの鐘楼しかなかった長念寺が、檀家の協力で新たに梵鐘を制作することになったのは1986年。奇しくもハレー彗星大接近の年でした。これを記念して、鐘にハレー彗星のデザインを盛り込むことに。鐘楼に上がれば、鐘に浮き彫りされた天女とともに舞ういくつもの流れ星マークを見ることができます。

                

このハレー彗星に乗って、宇宙のてっぺんまで一気に駆け昇る韋駄天。ぐんぐん運気が上がるよう流れ星に願いをかければ、スポーツ祈願のみならず天までバッチリ届けてくれそうです。

丸い形には神様が宿る!?

丸い絵馬といえば、誰でも修学旅行などで一度は訪れそうな京都の超メジャー観光スポット三十三間堂にも、縁結びではないですが少し変わったものがあります。

 

 

切り抜きまで施されたスタイリッシュなデザインなので、一見すると気のきいたグリーティングカードかお洒落なオーナメントのよう。大勢の人たちが観光記念に、思い思いの希望を託して奉納していきます。真ん中に描かれた仏画の千手観音が40本の脇手を扇状に広げる姿も、丸い形に収まりがよく、すっきりとした印象。周りを取り囲む梵字も、なんだか曼陀羅のようで神秘的です。この一枚だけ飾っても美しく心地よい感じは、もしかすると懸仏(かけぼとけ)をイメージしたのかもしれません。

 

懸仏というのは、丸い銅板に仏のレリーフを施したもの。日本の神様は神社や神棚などでも丸い鏡で表されますが、この鏡をかたどった円盤の上に仏様の姿を重ねることで、神と仏が一体だということを表現しているのです。神仏習合がごく自然な感覚だった頃を偲ばせる品です。

 

ここをクリックすると千手観音の懸仏を見ることができます。

 

今でも古くからの観音霊場など神仏習合の雰囲気を残すお寺では、お堂の正面上方や鴨居の上などに大きめの懸仏が掲げられていることもあるので探してみるとよいでしょう。

 

 懸仏は、平安時代に絵馬とごちゃまぜで祀られている様子を描いた絵が見つかっており、絵馬との区別が曖昧だった時期もあるとされています。つまり、それほど絵馬の形には案外決まりがないということ。特に丸い形はその名残りと思えば、妙にしっくりくるような気もしてくるから不思議です。

縁には円で婚活円満!

形が駄ジャレになっているのは、五角形の合格絵馬だけじゃありません。丸い絵馬で、縁と円をかけて縁結びというのもたびたび見かけます。

 

たとえば東京都台東区、浅草の今戸神社の絵馬。宮司さんが女性で双子ということでも何かと話題の、人気スポットです。まずは旧バージョン。

 

 

 

可愛い招き猫の絵が目を引きます。それもそのはず、宮司さんの一人がイラストレーターですから。自らデザインされたキュートなお守りが充実しているのも見所です。

 

この絵は、今戸神社で古くから授与されている縁結びの縁起物、江戸の伝統工芸「今戸焼」の招き猫がモチーフ。今戸焼は、現在では窯元が残り一軒となってしまっているので大変貴重です。雄雌2匹が仲良くくっついている姿が特徴的。招き猫は、右手を上げているものはお金を招く、左手を上げているものは人を招くと言われています。この両方がそろってパーフェクトなペア招き猫を、やはり縁結びを表す結び目つきの紐が囲む絵柄です。

 

そんなパワフルでしかもとにかく可愛い縁結びスポット今戸神社は、恋を求める女性に大人気。社殿も社務所も女性ばっかり、ウキウキ気分で列をなしています。「写メすると良縁にめぐまれます」と張り紙された大きな招き猫のオブジェなんかもあったりするノリノリっぷり。ここ数年では、すっかり定番パワースポットになりました。そんな中での、現行バージョンの絵馬がこちら。

 

 

 

新版では、これまた可愛らしいお雛様にコスプレ。古くから女性の願いを引き受けてきた雛人形は、新しい女性の聖地にピッタリです。あるいは、これって結婚式?そしてそこには、何をともいわない「成就」の文字。縁結びなのはもはやここでは当たり前、さらに縁の中でも男女の縁を強調した雰囲気からして婚活ブームへの意識など勘ぐってしまったりするのは勘ぐりすぎでしょうか?ともあれ、新たな出会いを求めるなら、時代の流れに乗るのは大切です。そんな勢いに満ちた今戸神社のエネルギーを浴びに行けば、何か前向きなきっかけをつかめるかもしれません。

五芒星といえば、アノ人!

五角形の絵馬には、合格祈願だけでなく、こんなものも。

 

 

 

見るからに「魔除」になりそうな五芒星は、京都の晴明神社の絵馬。漫画や映画でも知られる平安のヒーロー阿倍晴明(あべのせいめい)が式神(使い魔)を隠したという一条戻り橋の近くにあります。

 

安倍晴明が登場する作品に関わる芸能人や漫画家の奉納した、サインやイラスト入りの大きな絵馬がひときわ目立つところに飾られているのは、さながら現代の絵馬堂です。その下には一般の参拝客の願い事や晴明ファンによる熱いラブコールが、写真の小さな絵馬にぎっしりと書かれひしめいています。晴明が駆使した陰陽道(おんみょうどう)の世界観と呪力の込められた特別な図形、五芒星と五角形の一度に盛り込まれたこの絵馬は、どんな願いや思いもしっかり受け止めてくれそう。

 

ところで、阿倍晴明は学問の仏様・文殊菩薩の化身とも言われています。ですから、合格祈願にも効果テキメンなはず。そんなわけでちょっと一息。阿倍晴明誕生の地という説もある奈良県桜井市の阿倍文殊院に祀られる美仏、快慶作の文殊菩薩像をまずはご覧ください。

 

ここをクリックすると画像を表示します。

 

 

そして阿倍文殊院の絵馬は、こんな感じです。

 

 

 

 

全然にてないってば。獅子はイイ感じにそっくりだけど。

 

 

まあまあ、ここはカタいこと言わずに。絵馬というのは、美術的なものや特に鑑賞を意識したものでなければ一年で燃やしてしまうのが常。ですから、絵の上手い下手をそれほど気にしなくてもいい場合も多く、ともすればそんなところに天然のヘタウマな魅力が宿ったりするわけです。こんな脱力系の絵を見つけてニヤリとするのも、絵馬の愉しみのひとつ。イケメンな仏様を拝んでウットリしてからこの絵馬で駄目押し祈願すれば、頭がやわらかくなって知恵がつくこと間違いなし!?

 

谷さんの「そんなん言うても知らんわ!」第九回出演

USTREAM番組、谷さんの「そんなん言うても知らんわ!」第九回に出演しております。

録画はこちら! お時間ありましたら、ぜひご覧ください。もりだくさんの60分です。
その1 http://t.co/9EePObaZ
その2 http://t.co/wx4flk4T


新年一発目にして、移動スタジオに生まれ変わってから初の谷そん!世の中にはコンナ絵馬があるのかと仰天間違いなし、おもしろ絵馬を大量にお蔵出ししました。おやおや、ナニやら怪しいネタも!?

反響の大きかった栃木県足利市の「水使神社」をはじめ、まだこちらのブログで取り上げていないものもたくさん紹介しています。そのへんはこれから順次、重点的に載せてまいりますので、どうか「開運!おもしろ絵馬道場」今後にご期待ください!

五角形は合格に通ず!

絵馬で願い事といえば、真っ先に思い浮かぶのが合格祈願という人も多いはず。誰でも一度くらいは、志望校を書き付けて気持ちを引き締めたことがあるのでは?東京の湯島天神や京都の北野天満宮、福岡の太宰府天満宮など受験生の名所になっている学問の神様・天神様を祀るところは言うに及ばす、今では御利益祈願のできる寺社ならば合格祈願の全くないほうが珍しいように思えるくらいです。そして絵馬は、大体こんな感じが多かったのではないでしょうか。 

 

 

天神様やその他の学問に御利益のある神仏が描かれたり、鉛筆やハチマキなどいかにもそれっぽい絵だったりします。ていうか一番下のが、すんばらしい脱力っぷり。これらは各地の色々な寺社で汎用的に使われている合格祈願用の絵馬です。

 

そこに、いつの間にか一石を投じたのがこれ。

  

 

 

78年ほど前に、大阪府の大江神社で見つけました。大江神社には狛犬ならぬ狛虎が伝わっており、これにちなんで阪神ファンが優勝祈願をするスポットでもあったりします。いわゆる絵馬形の五角形ではなく、正五角形の絵馬って珍しいなと当時は思いました。

 

見ると、しっかり書いてあります。「合格祈願」、「五角絵馬」。

これってまさか・・・五角、ごかく、ごーかく、合格!?

 

社務所の方にきいてみたところ、まさにその通り。絵馬を作っている業者さんのアイディアで生まれたとのことでした。駄ジャレだと強調したいのか、わざわざ書いてあるあたりにコテコテの大阪的センスを感じてしまいます。

 

そのうちに、だんだんと五角形の合格祈願絵馬を見かけることが増えていきました。今では各地で見つけられると思うので、皆さんもぜひ探してみてください。

 

 

 

大江神社と同じく直球な当たり矢をあしらった左上は和歌山県の丹生都比売(にうつひめ)神社、右上は摂社に祀る天神様を描いた東京都の小野照崎神社。下は、こちらも学問の仏様として知られる文殊菩薩を描いた東京都の江戸川不動尊唐泉寺。小さな五角形の中に合格祈願と書いて、さりげなく強調しまくり。

 

さらに、極めつけはこれ。大阪府の露天神社(お初天神)で出しているものです。

 

 

一面に舞う桜の模様は・・・サクラサク

五角形の合格絵馬は、願い事を絵馬に託す気持ちが今も連綿と生きていて、そこから新たな駄ジャレも生み出され続けているということを教えてくれます。 

タヌキおやじの出世術!

上野東照宮

 

なにやら神々しいいでたちのタヌキ。仏画と見まがうような渋さです。雲に乗って、ドヤ顔していますね。それにしても、なぜにタヌキ?実はこれもまた、なぞなぞのような駄ジャレなんです。

 

よくみると「他抜」と書いてあります。「他抜き」でタヌキ。他の人を蹴散らし抜きん出て、立身出世しようぜ、ということ。道理でドヤ顔なわけ。

 

この絵馬を出しているのは、東京都の上野公園内にある、上野東照宮。実はこの神社の奥に密かに安置されているタヌキの像が、とんだ食わせ者だそうで。もとは大奥にあった四国最強の悪者タヌキの像だったのですが、たたりをなしたのでここに移され「栄誉大権現」として祀られています。それで満足したのか、出世を叶えてくれる神様に。

 

ついでに、タヌキといえば誰あろう東照宮の御祭神、徳川家康公。天下泰平の世を築いた家康は、人並み外れた知恵と人望と忍耐でトップにのし上がった人物です。それこそガンガン他を抜いてきました。タヌキおやじというのも、顔がタヌキに似ているからだけではない、粋なあだ名なのかもしれません。なかなか奥深いダブル駄ジャレ絵馬!?

 

そんな家康とタヌキに絵馬であやかれば、仕事運アップの御利益が。なにかと競争の激しい現代社会を乗り切っていくのに心強い味方となってくれるでしょう。なかなか成果が出なくて思い悩むときも、最後まであきらめず気長に自分のペースで目標を勝ち取った家康を心に念じ、このタヌキのようにのほほんとかまえていたいものです。

ところで、この絵の牡丹の花ですが、上野東照宮の牡丹園がモチーフ。上野公園内にあり、気軽に行ける花の名所です。日光にはかなわないけど大変ゴージャスな建物も上野東照宮の魅力。外国人観光客にも人気なので、彼らが勢いで記念に奉納していく絵馬をながめてみるのも一興ですよ。

牛の食べるもの、な~んだ?

大阪府の四天王寺境内にある小さな祠、石神堂。中をのぞいてみると、何やら牛の石像がみえます。

 

 

この床下には、四天王寺を創建したときに資材を運搬した牛がその場で石になったという巨石「牛王尊(ごおうそん)」が鎮座ましましているとか。

 

謎多きこのお堂に奉納され続けている絵馬も、牛の絵柄。この牛には、ある願いが遠回しに込められています。現代の言葉ではわかりづらいのですが、それは牛の食べ物にまつわること。何だかおわかりでしょうか?

 

 

 

先に言ってしまえば、ここでの牛は、おできを取ってくれるとされています。おできのことを古い言い方では「瘡(くさ)」と言いました。そう、牛は草を食べることから、これに引っ掛けて、おできも食べてくれるようにという意味なのです!

 

かつては東京の神楽坂にある草刈薬師とよばれた光圓寺でも、草を刈る→おできを取る、ということで鎌が二本交差して籠に入っている図柄の絵馬がさかんに奉納されていました。

 

一言おできといっても、ちょっとしたおできから恐ろしい悪性腫瘍までさまざま。それに、命に関わらなくても顔にできるおできなら人生さえ大きく左右しかねません。

 

元々は子供のおできの治癒を祈願していたこの絵馬にも、あらゆる病気平癒の願いが書かれるようになりました。中でも癌封じは、誰でもいつかは身につまされる可能性のある切実な願いです。あるいは女性なら、お肌が美しくなるようにお願いしてみるのもいいかも。石になってもお寺を守り続けるほど力強い牛が、きっと体の悪いものを全部食べ尽くしてくれますよ。

 

駄ジャレで、もうかりまっせ!

ここまで見てきただけでも、絵馬には洒落のきいたものが色々あるのがおわかりいただけたかと思います。今回は、そんな中でもダントツで駄ジャレ密度の濃い絵馬の登場です。

 

こちらは江戸末期の縁起物だった「藻刈舟」という絵をモチーフに、安井金毘羅宮が絵馬として仕上げたもの。「もうかり絵馬」とよばれています。

 

 

哀愁漂う背中がなんとなくイイ感じの渋い絵ですね。それにしてもこの人物、一体何をしているのでしょうか。

 

それでは、シンキングターイム!

 

 

 

 

 

 

 

答え。






「藻を刈ってる」(もぉかってる)。


・・・はい、オヤジギャグ並みの駄ジャレです。

 

しかも、駄ジャレはこれだけでは終わりませんよ。雨の中だから「降るほどもうかる」。さらに「一芳」のサインで、「もうかる一方」の異名をとったという「藻刈舟」作者の画家、森一鳳にあやかっているんです。

 

おまけに、商売繁盛の神でもあったこの金比羅宮のマーク「マルキン」の焼印を落とすことで、駄目押しのようにマルキン祈願。三重四重にもわたる駄ジャレが巧みに盛り込まれた、最強の縁起物の一丁上がりというわけです。

 

私が絵馬の収集に本格的にハマったのも、この「もうかり絵馬」で、絵柄に託された願い事を読み解く面白さに目覚めたのが大きなきっかけでした。次回からも引き続き、こういった駄ジャレをもう少し追究していきます。

厄なんて、落としちゃえ!

 

文字を使った願かけには、こんなものも。

 

013

 

そのものズバリ、「厄」ですね。だけど逆さになっています。というか、絵馬そのものまで逆さになっています。見たまんま、逆さ吊りにすることで厄を落とそうというココロ。埼玉県の三峯神社などで奉納することができます。

 

こちらは、厚紙製。「厄」という字の部分には切り込みが入っていて、取り外せるようになっています。

 

 

取り外した「厄」は、指定の場所から、谷底に投げてオサラバです。眼下に広がる絶景に、力いっぱい「厄」を放り投げればストレス解消間違いなし。自然の豊かな山の中ならではの祈願方法です。神奈川県の大山阿夫利神社などにあります。

 

東京都の高尾山薬王院にも、こんな絵馬が。

 

 

 

「厄おとし」と「苦ぬき」の2種類あります。はじめから字を抜いてあるタイプ。特に「苦」のほうは、切り抜くときのこげつき具合でいかにも苦悶の色合いに。苦しいときは、この絵馬が身代わりになってくれそうです。悩みを思いっきり書き付けて、苦しみを絵馬に移せば心はスッキリ軽やかに。

 

他にも、たとえば東京都の亀戸天祖神社では、厄除けのご祈祷をお願いすると、宮司さんが絵馬に「厄」の字を逆さに書いてくれるという趣向が。また、最近では真ん中に切り込みが入っていて「厄」と書いてあるほうに名前を書いて奉納し、もう片方をお守りにする割り符タイプの願かけも東京都の芝大神宮などあちこちで見られます。

 

生きていれば、いつだって辛いことがつきもの。厄落としほど誰でも望む願い事は、他にないくらいかもしれません。それだけに、これほど工夫をこらした願かけが色々あるのも頷けてしまいます。どれも「これで厄を落としたぞ!」という実感の持てるものばかり。その瞬間から気持ちを新たに、希望を持って過ごせそうです。

 

悪いヤツは、逮捕しちゃうゾ!

前回ご紹介しました「心に鍵」の絵柄は、他にも新たなバリエーションを生んでいます。たとえばこれ。何に見えるでしょうか?

 

 

 

少々わかりづらいかもしれませんが、「悪」という字になっています。「悪」を鍵で封じ込めれば、泥棒除けというわけですね。でも、それだけじゃない。なんと、だまし絵になっているんです。ちょっと焦点をズラせば、ふてぶてしいけど、どこか憎めないヒゲヅラのおっさんが見えてきませんか。それにしても、この顔に鍵穴の取り合わせとくれば、なんだか「黒ひげ危機一髪」を思い出してしまいます。

 

この絵柄、一見すると江戸時代からあったのかなという気がしてしまいますが、実はこれ、1973年から放映された中村梅之助主演のテレビドラマ「伝七捕物帖」を記念して作られたもの。近代以降、文化人や趣味人が江戸時代のユーモラスな絵馬の数々にインスパイアされて、こうしたウィットに富んだ絵柄を生み出していったのです。これも、そんな創作絵馬の流れのひとつだと思います。

 

伝統的な意匠をベースに、新しい絵柄や使い方を考えるのは、実に愉快なもの。現在は東京都の亀戸天祖神社で出しているこの「泥棒除け」も、玄関のドアに掲げたりすると江戸情緒が漂ってお洒落かつ、なにげに実用的です。「セールスお断り」とか「猛犬注意」なんてオプションを筆ペンで書き添えるとさらにグー。

 

ハートをがっちりロックだぜ!

さて、今回も引き続き、絵文字系をば。静岡県浜松市の、館山寺(かんざんじ)のお地蔵様に奉納されている絵馬です。

 

 

心という字に、鍵がかかっている・・・引きこもりじゃないですよ。これって実は、縁結びの絵馬なんです。そのココロは、ええ、タイトルの通り。好きなお相手の心に鍵をかけて、アタシだけのものよマイダーリンってな寸法です。気分はNANAです。シド・アンド・ナンシー状態でぐだぐだです。例えがちょっと古いのは気にしないように!

 

ですがこの「心に鍵」の絵柄、なんと元は別の意味がありました。これも江戸時代からあった絵柄で、主に生駒の宝山寺に奉納されてきたもの。絵は全く同じでも、こちらは自分の心に鍵をかけて、ガマンしなさい!ということ。何か好きなものを一定期間ガマンすることで、そのかわりに願いを叶えてほしいという「断ち物祈願」に使われていたのです。

 

15.jpg

↑宝山寺の「心に鍵」絵馬。

これのバリエーションとして、徳利とお猪口に鍵とか、賭博道具に鍵などといったような絵柄もかつてはさかんに奉納されました(やっぱりぐだぐだなのね)。今でも宝山寺では、こういった「わかっちゃいるけどやめられない」系のものをやめたい人たちが、切実な思いで絵馬に願い事を書いていきます。

 

現在、ほとんどの絵馬は機械で大量生産されていますが、それにともない宝山寺も手描きの絵馬を廃止し、工場生産へ移行してしまいました。そして館山寺の絵馬は、お寺の名前が入っているところ以外、今の宝山寺で出されているものと全く同じです。そんな中でも、現在進行形での願い事のニーズから、同じ絵柄でも全く新しい意味が生まれてくるのは興味深いと思います。

 

目には「めめ」で目ヂカラを!

前回のような黒枠付きの古式絵馬を、もうひとつ。ちなみにこうした足つきの黒い枠は、関東地方に多い形です。寺社の軒先や賽銭箱の上などの溝にこの足を引っかけるように立て掛けて奉納されたりします(このブログのヘッダー画像ですね)。

 

 

これは「向かい目」とよばれる、江戸時代からある絵柄です。「め」という文字をこうやって並べてみると、なんだか「へのへのもへじ」の顔みたい。今でいう顔文字のような洒落っ気で、眼病平癒の願いを込めています。昔は眼病も今よりだいぶ治りづらかったわけですから、一見冗談のようでもそこに込められた思いは真剣だったはず。深刻な悩みを楽しくさらっと表してしまう江戸人のユーモアと、当時の形もそのままの丁寧な手描きの温かみに元気をもらえそう。

 

この絵柄は、大抵は薬師如来に奉納されます。薬師如来といえば病気平癒のご利益ですが、「十二大願の第一である光明普照」というのが経典にあるため、光といえば目ということで、眼病平癒を前面に押し出すことは多いようです。

 

写真の絵馬を出しているのは、東京都中野区の新井薬師梅照院。徳川の2代将軍秀忠の娘、和子の眼病がこの寺の霊験によって回復したため、江戸中で評判になったという由緒正しき御利益スポットです。今でも絵馬が当時のままなのは珍しく、喜ばしいこと。現代人にも目の悩みは尽きないし、目が元気なのは美しさの源です。ぜひともここで祈願して目ヂカラUPを!この絵馬を超ミニサイズにしたストラップ形のお守りもオススメですよ。

 

拝み絵馬で、祈りよ届け!

名だたる絵師の手になる大絵馬が豪華さを競うようになっていく裏では、庶民が切なる願いを託すための小絵馬も、着実にバリエーションを増やしていきました。人々のニーズに合わせて、色々な絵柄や形が生み出されていくというのは、今に至るまで同じ。

 

次回からはそういったバラエティ豊かな絵馬を1枚ずつ読み解いていきたいと思いますが、その前に、もうひとつの裏スタンダードと言うべき絵柄をご紹介しておきます。

 

 

祈る人物の姿は、いわば願い事をする人自身の分身。絵馬が機械で大量生産されるようになる以前には、庶民が神仏に奉納する絵馬としては最も一般的な絵柄と言っていいのがこれでした。馬と並んで、どんな神仏にも、どんな願い事にも使えるオールマイティーな絵柄。かつては、女性だけでなく男性、あるいは夫婦、家族などを描いたものもあり、このような絵柄は「拝み絵馬」とよばれています。

 

こうした手作りの絵馬が主流だった頃には、今のように願い事を文章にして書くということはありませんでした。それは神仏と自分だけの秘密で、絵とそこに込められた思いが神仏に直接メッセージを運んでくれると信じられていたから。名前も書かずに、年齢と性別だけが書き添えられていました。今でいうプライバシー保護的な効果もあったのでしょう。

 

上の絵馬は、今でも入手することができます。これを売っている場所がオドロキ。東京都府中市の大国魂神社の道路を隔てた向かい、「フォーリス」というショッピングセンターに入っている「中万」という文房具店なのです。旧甲州街道開通から続く老舗だそうです。文房具以外にも雑貨の豊富な楽しいお店でした。その一番奥の棚の片隅に、会計などに使うお堅い用紙と並んで、手作りの絵馬の束が!

 

この絵馬は、大国魂神社の境内にある宮之咩神社(みやのめ神社)に奉納されることが多いです。ここは安産のご利益で密かに知られており、御礼参り用の絵馬もあります。

 

 

無事産まれたということで、赤ちゃんが描き加えられていますね。こんなふうに、願い事を絵だけで伝えるというやり方もあるというわけです。現在、願い事は文章にするのが主流ではありますが、無地でもない限り、絵や形にも一定の役割があるはず。こうしてそこに込められた意味を見ていくのが、絵馬の面白みだと私は思います。

小さな美術品でハッピーに!

室町時代以降になると、プロの絵師が絵馬を制作するようになり、大きく華やかで美術的価値の高いものがたくさん生み出されていきます。今日、古いお堂あるいは社殿の中や、寺社の境内にある絵馬堂という大絵馬を奉納する専用の建物などに掲げられている額絵がその代表格。文化財指定を受けたり博物館に収蔵されたりしている絵馬も各地にあります。これが江戸時代にかけて、絵師が腕を競い合う発表の場になったり、スポンサーの依頼を受けて広告の役割を果たしたりするようになっていくわけです。

 

そんな歴史的な作品を、ミニチュアにして気軽に楽しめる絵馬はいかが?観光などで何気なくおとずれた寺社にも、よく見ればそういう柄の絵馬を売っていることが時々あるので要チェック。 たとえば東京都心のオアシス、赤坂氷川神社でも、ミニチュア系の絵馬を手に入れることができます。それがこの二枚。

 

 

 

 

 

この二枚のモデルになっている絵は、赤坂氷川神社所蔵の都重要文化財、狩野豊久の筆になる「紙本着色神馬額絵・獅子額絵」。元の作品は屏風に絵馬形の絵を二枚張ったものですが、これも大絵馬流行の中での、派手好みのバリエーションといったところでしょう。

 

どちらも印刷がとても繊細。もとの日本画のイメージを崩すことなく小さな美術品として充分楽しめるレベルの嬉しい品です。願い事を書いて奉納することもできるし、お値段も手頃。手元に置いて愛でても、思い切って奉納しても、ちょっぴり贅沢な幸せ気分に浸れること間違いなしですよ!

 

絵馬は神社だけじゃない!

今でこそ神社にもお寺にも絵馬はありますが、実は平安時代にはすでに、お寺に絵馬を奉納するのは普通のことになっていました。神と仏を同じだとみなす神仏習合思想の中で、それはごく自然なことだったのでしょう。東寺や興福寺は、その先駆者的な場所です。

 

なかでも東寺では、お寺と絵馬とが古くから結びついてきたことを今に伝える行事が毎年行われています。それは弘法大師のご命日の4月21日に、東寺の重要な塔頭(たっちゅう)である灌頂院(かんじょういん)というところの、重要な儀式に使われる聖なる水を汲む井戸がある閼伽井堂(あかいどう)に、絵馬を掲げること。ここにも、絵馬と水神とのかかわりを垣間見ることができます。 この日だけ公開される閼伽井堂のひさしには、朱だけで描かれた三枚の絵馬が。朱は古来特別の呪力をもつとされる水銀の化合物で、水の神との関係も深いと言われています。向かって左が一昨年、右が去年、そして一番新しい今年の絵馬が真ん中。読経の響く中で大僧正が一気に描き上げるのだそうです。この絵の出来具合を過去二年のものと比べて、向こう一年の農作の吉凶が占われます。これを見るだけでも、充分ご利益をさずかれるとか。

 

東寺には、これにちなんだ縁起物の絵馬も。

 

(右は裏面)

 

手のひらにおさまるコンパクトなサイズで、お守りとして持ち歩くこともできます。これを持っていれば、水神と朱のパワーで邪気を祓って、気持ちも新たにハッピーな一年が過ごせるかも。

 

「絵」になる前に、立体の「馬」!

なぜ「絵」の「馬」で絵馬なのか。それはもともと、神様に生きた馬を捧げていたのが始まりだったから。神様の乗り物と考えられ、神聖視されてきた馬。雨乞いには黒い馬、晴れてほしいときには白い馬を、川辺で水の神に捧げて豊作を祈るという、まるでてるてる坊主のような風習もありました。それが生きた馬だと何かと大変なので、小さな板切れに馬の絵を描いたものへと簡略化されていったのです。こうした絵馬の原型らしきものは、古くは奈良時代の、かつては水辺だったという地層から出土しています。

 

ちなみに最も古い絵馬は、馬を描いた四角い板です。現在のいわゆる絵馬は、屋根のような五角形をしているものが多いですが、これは厩舎をかたどったもの。馬と関係ない絵柄であっても、馬の面影を残しているというわけです。

 

ところで、生きた馬の代わりとして絵に描いた馬が定着するまでには、過渡期的なものも色々ありました。そんな絵馬のプロトタイプを今に伝えているのが、こちら。

 

 

 

 

写真上の素朴なものは、茨城県東海村の村松山虚空蔵尊というお寺で出している立絵馬。「真弓馬」ともよばれる郷土玩具です。写真下は、奈良県奈良市の、東大寺三月堂近くにある手向山八幡宮の立絵馬。こちらは応神天皇(八幡神)の愛馬「あつふさ」をイメージしたものとも言われるだけに、雅な雰囲気があります。今でも立絵馬が手に入るのは、この2箇所だけ。

 

この他、藁や陶器などで馬をかたどった郷土玩具も、絵馬の原型を残すものではないかと言われています。また、今でも神社には、神馬として生きた馬を飼っていたり、木馬を置いていたりするところがあるので、探してみるのも面白いかもしれません。

 

絵馬といえば、馬!

さて、開始早々から脱線もはなはだしかったので、本筋に戻るとします。絵馬とは何なのかというところからお話するのが筋だったわけですが、まずは固定観念を外していただきたかったということで、前回までは護符としての絵馬を少々みてきました。そろそろスタンダードなところから始めていきましょう。これが絵馬の基本形かな、と思ってもいいようなものは、こんな感じです。

 

 

これは鶴岡八幡宮で出している、かなり丁寧な作りの、大判の絵馬です。お値段も2000円と少し高めなので、使い道を普通に考えるならば、願い事を書き込んで奉納するならだいぶ気合いを入れてするか、あるいは記念に持ち帰って飾るか、というところではないかと思います。

 

ここには、馬が一頭描かれていますね。少なくとも「絵馬」という言葉の由来は、ここからでした。馬を描いた一枚の板切れが、神様への捧げ物から、様々な要素を取り込んだメッセンジャーとして展開していくのです。最も古いものは、飛鳥時代にまで遡るとされています。現在では絵柄も用途もバラエティーに富んでおり、歴史的におおまかな流れを辿ることはたしかにできるのですが、とても一本道の進化を辿っているとは言い難いと私は思います。次回は、そんな絵馬というものの黎明を偲ばせる品をお見せします。

 

でもって来年は蛇!

龍ついでに、来年のお正月にぴったりな絵馬をひとつ(鬼が笑うってば)。しかもお正月の元日と、9月の大祭のときのみ限定授与というレアな品。東京都世田谷区の奥沢神社、「厄除大蛇の絵馬」です。

 

 

 

ザンバラの前髪に、ヒゲがびろ~ん。由緒書きにも思いっきり「のどかなるお顔」と書かれてしまうほどの、のほほんとしたオトボケ顔は大変親しみやすく、なんだか日本昔話に出てきそう。子供たちをそっと見守る優しい妖怪を思わせるような、不思議ななつかしさが漂います。

 

モチーフは、奥沢神社の大祭のときに氏子が担いで練り歩く藁製の大蛇。普段は鳥居に巻き付いて、参拝に訪れる人々を陽気に出迎えています。

 

 

 

こういった習俗は、疫病除けや豊作祈願として各地にありますが、東京の町中、それも駅からすぐという便利な場所でみられるというのは珍しいと思います。大祭は9月の第二土曜日・日曜日の二日間。うち土曜日の午前10時~12時半には町内練り歩きがあります。この日を狙って躍動する大蛇のパワーを浴びにいくもよし、元旦に初詣して巳年の気分を盛り上げにいくもよし。プリミティブでエネルギッシュな蛇の御利益を絵馬で持ち帰れば、一年間の厄除けに!

 

今年はやっぱり龍でアゲアゲ!

最近では、飾ることを意識した絵馬も色々出てきています。もちろん特に注意書きなどなければ奉納してしまってもかまわないのですが、かなり凝った作りのものだったりしたら、きっともったいなくなってしまいますよね。

 

 

 

 

社殿彫刻を忠実に再現したフィギュアがついているこちらの絵馬は、埼玉県の秩父神社でお求めできます。モチーフとなった彫刻は「つなぎの龍」といって、伝説の名工「左甚五郎」が作ったといわれています。そのあまりにも豊かな生命感・躍動感から、夜な夜な抜け出して暴れ回ったとされ、動けないように鎖がかけられたとか。絵馬にはこの鎖までしっかり金属製の鎖で表現されているのがポイントです。今年の干支にもちなんで、ありあまる元気を分けてもらえそう。

 

また、この龍は社殿の鬼門の方角を守るために作られたものでもあるので、絵馬をお家の鬼門(北東の方角)に祀れば、魔除けの効果も期待できますよ。

鬼パワーで必勝!

もうひとつ、持ち帰って玄関に飾ることで御利益を得られるタイプの絵馬をご紹介します。これまたユーモラスな鬼コンビの登場です。

 

 

こちらは埼玉県比企郡の鬼鎮神社(きじんじんじゃ)。なんと鬼を祀っている珍しい神社です。今でこそ手描きではなくなってしまいましたが、民芸調のゆるくて楽しい絵柄は健在。

 

家に祀る絵馬は「絵馬札」とも呼ばれます。お札との違いは、見た目に絵がメインかどうかぐらい。平安時代から絵馬らしきものが、懸仏(かけぼとけ)という仏をレリーフ状に打ち出し描いた丸い銅板とごっちゃに祀られていた記録もあるなど、「これが絵馬!」という厳密な区別はありませんでした。それだけ自由度の高いビジュアル信仰品/縁起物と言うこともできそうですね。

 

鬼の絵馬を飾って願いが叶ったら、ぜひともお礼詣りを。武運長久・必勝祈願のお礼として金棒を奉納する人も多いので、鬼鎮神社の境内は鬼と金棒だらけです。もちろん金棒を入手するのは大変ですから、お礼用の絵馬を奉納することで簡単に済ませることができますよ。金棒の奉納が特に多かったのは戦時中。今も昔も、人生は戦いだらけです。鬼の力を借りれば、仕事・出世はもちろん学業・スポーツまで、何でもバリバリいけるかも。

飾って開運!天狗の絵馬

絵馬って、そこらの神社仏閣でたくさん吊り下げられている、あの小さな板切れのことだよね?それを集めるって、そもそもどうよ?なんて言われること実は普通に多いです。そもそも持って帰ったらいけないんじゃないか、とか。

 

いやいや、そんなことはありません。ご安心ください。必ずしも願い事を書いてその場に吊るしていくものだけが絵馬というわけではないのです。

 

たとえばこちらの、なんともゆるい感じな天狗の絵馬。

 

 

武蔵第六天神社

 

これは埼玉県岩槻市の武蔵第六天神社で頒布されているもの。天狗は、ここで祀られている「第六天」という謎多き神様のお使いです。「向かい天狗」と呼ばれる、伝統的な絵柄。

 

この絵馬は、お札とセットで渡されます。そして、お札を玄関の内側に、絵馬を玄関の外側に飾って祀れば災難除け・家内安全・商売繁盛の御利益が得られると言われています。つまり、はじめから持ち帰ることが前提になっているわけですね。

 

これ以外にも、絵馬が家の玄関や神棚、あるいは畑や厩舎などにお守りとして掲げられるケースはたくさんあります。それに、そうでなくても最近の絵馬は旅の記念品としての要素が強いものも多いですし、寺社の授与所などで自分で買い求めさえすれば、願い事を書いて奉納するのも持ち帰るのも基本的には自由です。

 

ただし、信仰の証としての奉納物という要素が強ければ、持ち帰ってはいけないと言われる場合もありますので、各場所での指示には従ってください。また、奉納されているものを許可なく持ち去ってしまう行為は、泥棒と同じですから絶対にやめましょう(たまに誤解される向きもあるようですが、このような行為を私は一切しておりません!)。

 

こういった最低限のマナーを守りさえすれば、絵馬は願い事を託すもよし、絵柄を愛でるもよしの、身近な楽しい開運アイテム。

 

この天狗の絵馬も、とぼけた表情の手描き絵は見ているだけで心が和みます。そんな憎めないキャラの天狗コンビが懸命に家を守ってくれていると思うと、何ともいとおしい気持ちに。これで魔除けもバッチリ、幸せを呼んでくれそう。

 

 

ところで、武蔵第六天神社には、家に持ち帰ってお守りとして飾る絵馬だけではなく、いわゆるその場で書いて吊るしていく絵馬も何種類か用意されています。その中でも最も特徴的なのがこれ。向かい天狗の絵柄も踏まえつつ、男女の拝みという伝統的な絵柄と合わせたアレンジがなされています。

武蔵第六天神社・願掛け用

拝みというのは、そのものズバリ拝む人の姿を描いたもので、いわば祈願する本人の分身。この絵のような雲に乗って天から降りてくる神仏や、これを象徴する御幣も、よく一緒に描かれます。拝んでいるのが男女なのは、ここでは絵馬に願い事を書き込む人が男女どちらでもいいようにという配慮なのでしょうが、もしかしたら家族円満になるようにといった意味も込められているかもしれません。いずれにせよ、こういった絵柄を気軽に楽しめるようになっているのは喜ばしいことです。

ここ武蔵第六天神社は、第六天を祀っている神社がそもそも小祠まで含めて全国で22箇所と少ない中、無住や臨時ではなく常に社務所に人がいるという非常に珍しいところなのだそうです。それはこの神社が、これまた珍しい形の信仰に支えられているから。社殿の中には大天狗と烏天狗の宿っているというご神木があり、触れるとパワーをいただけるとか。境内には天狗の面もいたるところに飾られているので、見ているだけでも楽しくなってきます。

元荒川という大きな川沿いという立地も、大自然のエネルギーに満たされた気持ちの良い場所なので、いかにも天狗が元気に暮らしていそう。また、この神社で工具の「きり」を借りて、頭を突く真似をすると頭痛などがなおるといい、願いが叶ったら倍にして返すというユニークなならわしも現在まで続いています。そんなパワフルな場所で願いを込めれば、天狗と仲良くなれるかも。
検索フォーム
最新記事
おみくじたんbot
  (取扱説明書はコチラ)
リンク
最新トラックバック
最新コメント
オススメ記事
プロフィール

鏑木麻矢

Author:鏑木麻矢
文筆家。現在、初の著書を執筆中。2012年5月から2014年12月まで、㈱H.I.S.公式ブログとして「麻矢の不思議カワイイ!?ご利益モノがたり」連載。現在、当ブログ内にすべて再録。縁起物をこよなく愛する。巷間の多種多様なおみくじを収集・研究中。絵馬コレクターでもある。かつて、仏像マニアのテレビ番組に出たことも。全ては神社仏閣・仏像巡り趣味から始まっている。旅と町歩き・路上観察、手仕事なモノ(郷土玩具、民藝)、美術鑑賞(月に最低2回位は美術館博物館に行くのが癒し)、古風なもの、レトロな雰囲気などが好き。何にせよ、知られざる面白いモノゴトを自分なりに発見していきたいです。他、天然石・鉱石やトランプ・カード等、気まぐれかつ雑多な収集癖あり。以前、下手の横好きでオペラを習ったこともあったり(今も観賞大好き)。何でもとことんハマるのが生き甲斐(悪癖?)。

当ブログの著作権は著者に帰属します。引用するときは引用元記事もしくはブログトップページへのリンクを必ず行ってください。

おみくじ関係のお仕事をご依頼の方は、必ずこちらの記事を読んでから依頼・質問等してください。

仕事依頼・連絡先
kabura@gmail.com

カテゴリ
QRコード
QR
   
月別アーカイブ
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる