【再録】三陸鉄道南リアス線に乗りに行こう!絆の聖地 恋し浜駅

2014年10月29日掲載分01
釜石駅に着いたら目に飛び込んでくるのが、ドラマ「あまちゃん」でもおなじみだったこの車両。ドラマに登場した三陸鉄道は北リアス線と南リアス線に区間が分かれており、こちらは南リアス線です。平成26年4月5日に全線運行再開したばかり。

2014年10月29日掲載分02
前回はSL銀河を追いながらJR釜石線を花巻~遠野と乗ってきました。その終点が釜石駅なので、上手に予定を立てればSL銀河と三陸鉄道を丸一日で一気に楽しむぜいたくな鉄旅もできちゃう。

2014年10月29日掲載分03
三陸鉄道南リアス線の魅力は、アテンダントさんがガイドや車内販売で旅気分を盛り上げてくれること。イベント列車なども定期的に開催。目の前は「あまちゃん」の世界そのものです。

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おなじみ三鉄カラーだけでなく、こんなお洒落な新型レトロ調車両もやってきます。全線復旧に合わせて新たに導入されました。

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内装も豪華。「これ乗るのに予約とか追加料金とかいらないの!?」なんて戸惑いそうになりますが、何もしなくても通常料金で普通に乗れちゃいます。

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車窓からは、いまだ津波の爪痕生々しい被災地が垣間見えますが、これが今まさに復興へ向けて一歩一歩がんばっている姿です。皆さんとても親切な三鉄のスタッフさんたちも、お一人お一人が心に抱えておられることは様々なはずですが、それにもかかわらず、まばゆいばかりの笑顔であたたかく旅人をもてなしてくれます。

そんな真心のこもった電車で向かう縁結びの名所が、この「恋し浜」駅。
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もとは「小石浜」駅でしたが、2009年に改称されました。ロマンチックな駅名標です。


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ホームからは海も見渡せる、こじんまりとした可愛らしい眺め。

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こちらには、地元の人が1985年に駅の開設を喜んで詠んだ短歌「三鉄の藍(愛)の磯辺の小石(恋し)浜 かもめとまりて汐風あまし」が記されています。「小石浜」駅は地元民の要請で造られた一番新しい駅でした。ホタテの養殖が盛んな土地なので、この短歌にちなみ命名されたのが「恋し浜ホタテ」のブランド。全国屈指の大変美味しいホタテとして有名です。駅名の改称は、この「恋し浜ホタテ」の漁師さんたちのアイデア。開設当初から地域住民が主体となって守り、盛り立ててきた元気な駅なんですね。

そして、恋し浜駅といえば、何と言ってもこちらの待合室。
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近づいていくと、窓からのぞくものは・・・


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中にはホタテの貝殻絵馬がびっしり。もちろん恋し浜ホタテ使用。
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恋し浜ホタテの養殖は、牡蠣の養殖と同じように穴を開けて紐で吊るしておくのが特徴。こうすることで、貝が砂を吸い込まずにすむそうです。絵馬もこれと同じ吊るし方になっているのが密かなポイント。


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床にまで、びっしり。

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こちらの机で、絵馬を書いていけます。いつも貝を洗って準備してくれる三鉄のスタッフさんさまさまです。当初は縁結びの願い事が主でしたが、震災後は復興を願うメッセージや日常への感謝などが中心になりました。念願叶って全線復旧した三鉄を、積み重なる想いでそっと支え続けるホタテ絵馬。全国から訪れる人々と被災地との心をつなぐ、もっと大きな縁結びの形が、ここにあります。

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片隅の本棚に、何気ない日々の面影。

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栃木の市民団体から贈られた、折紙の千羽鶴ならぬ千枚ホタテも。たとえ何もできないとしても、何かを伝えることで少しでも力を取り戻してほしい。そんな温かで純粋な祈りが、全国各地から次々とこの場所に集まってきます。こういう感じこそが本来的なパワースポット、聖地の趣きに思えてなりません。

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ホームには、天使やバラの透かし模様が美しい「しあわせの鐘」。
恋し浜駅では停車時間が少し長めになっているので、終点まで途中下車しなくても鐘を鳴らしたり絵馬を書いていったりと充分楽しめます。一人で来ても、アテンダントさんが記念撮影のシャッターを押してくれたりするので安心。


ここでは、せっかくだからもう少し降りてみます。

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小さな無人駅ならではの佇まいにくすぐられる旅情。


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よく整備された花壇には、バラの花が咲いていました。実はこのバラ、地元出身の人が命名した新品種「恋し浜」。つまりオリジナルです。これも密かなロマンチックポイント。「しあわせの鐘」のモチーフも、これにちなんでいます。

以前は鉄道ファンがホームで結婚式を挙げたこともある恋し浜駅。幾多の悲しみを乗り越えて、再びそんな幸せの花が咲く日も確実に近づいてきています。それはきっと、もっと大きく深いものに違いありません。



再び電車に乗り込みます。終点が近づいてくると、車内で二人のアテンダントさんが宮城県の海の民謡「斎太郎節(さいたらぶし)」を歌いながら手躍りを披露してくれました。
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お客さんたちと一体になって、車内のテンションは最高潮に。


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終点では、最後まで乗客の一人一人を最高の笑顔で見送ってくれる姿に感涙。旅人を楽しませながら被災地の記憶を広く伝えていく試みの数々、実際に一度その場で触れると応援せずにはいられなくなります。むしろ生きる力を分けてもらったような気持ちで、忘れられない旅になりました。ちなみに窓の下に書いてあるアラビア語は、震災にあたり東北に多大な支援をしてくれたクウェート国への感謝の言葉。三鉄の心は世界につながっていきます。


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終点(起点)の盛駅の通路も、復興への熱いメッセージでいっぱい。

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「盛駅ふれあい待合室」は、地元の人や旅人の憩いの場。同時に、三陸鉄道南リアス線のイベントや地域の色々な支援活動の拠点となっています。豊富なお土産グッズを選んだり、お茶を飲んでおやつを食べたりして、ほっと一息。付近にはグルメスポットも色々あるので、ぜひスタッフさんたちに教えてもらってください。
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地元の人たちによる手芸品も色々売っています。写真は、ちりめんで作られた「盛の椿」ストラップ。ブローチもありました。和のテイストが良い感じです。

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記念に切符をコレクションしてみるのも、鉄旅のお楽しみのひとつ。盛駅と釜石駅では、昔ながらの紙質と印刷のレトロな硬券切符を発行してくれます。しかも台紙つき。窓口で気軽にお願いしてみてください。恋し浜行きの硬券が手に入るのは、盛駅だけ。あとは起点から終点までの通し切符と、釜石駅・盛駅の入場券です。乗るとき使えるタイミングで買えるのが一番ですが、場合によってはそのとき実際に使わない切符でも寄付だと思って買ってコレクションに加えてしまうのはアリですよ。

次回は、再び三陸鉄道南リアス線で釜石のひとつ前の平田駅まで戻り、もうひとつの沿線パワースポットへと向かいます。

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●三陸鉄道 公式サイト http://www.sanrikutetsudou.com/
●盛駅ふれあい待合室 公式サイト http://santetsufureai.web.fc2.com/

テーマ : 鉄道旅行
ジャンル : 旅行

【再録】SL銀河で民話の世界へディープな縁結びの旅、ついでにカッパ 花巻・遠野

宮澤賢治ゆかりの花巻と民話のふるさと遠野を結ぶJR釜石線。この物語性にあふれた路線を走るSL銀河の誕生で、起点となる花巻もそれまで以上に盛り上がりを見せています。

2014年10月15日掲載分01
今年4月に運転を開始したSL銀河に合わせてリニューアルされた駅名標には、各駅ごとに宮澤賢治が愛した夢の世界共通言語エスペラント語の愛称が付けられています。花巻駅は、「チェールアルコ=虹」。

さて、なんとこの花巻には、古くから人々に伝承されてきた知る人ぞ知る強力な縁結びアイテムがあるとか!?そんなわけで、さっそく制作元を訪ねてみました。

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花巻駅から歩いて、毎年の干支や郷土色あふれるお土産用などの張り子人形をすべて手作りで生み出している「小田島民芸所」さんに到着。

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店内には、自家製になる鹿踊り人形を囲んで、各地の民芸品が所せましと展示されています。なお、普段はお店を開けていないので、じかに訪ねてみたい人は必ず事前に連絡を。

2014年10月15日掲載分04
お目当ての品はこちら。かつて円万寺というお寺で、片思いをしている人が誰にも見られないようにこっそりと奉納していたことから、「忍び駒」とよばれています。願をかけるときは裸のワラ馬ですが、恋が叶ったときにはお寺から一旦自分のところに戻し、写真のように色とりどりの布で飾って、もう一度お礼参りとして奉納していたそうです。ひそやかな想いを育ててそっと花を咲かせるような、美しい風習ですね。現在ではお寺に奉納することはあまりなく、自宅の神棚に飾ります。

2014年10月15日掲載分05
制作元だけで購入可能なのが、この裸状態の「忍び駒」。本来は自分で布を着せるものなので、飾り付け方に決まりはありません。自由にデコって願掛けしちゃいましょう。好きな柄のリボンなどで可愛くできて、しかも恋に効くということで、地元の女子中高生に大人気です。最近では、願をかけるときに想いを込めながら布やリボンを結び、神棚に置いて祈るのが主流。男子中学生が5色のリボンを一頭ずつの「忍び駒」に結んで「幸福戦隊ゴレンジャー」を誕生させた、なんて微笑ましいエピソードも。時代に合わせて形を変えながらも愛され続ける身近なパートナーとして、「忍び駒」は今日も誰かにこっそり幸せを運んでいるのです。

2014年10月15日掲載分06
最初から飾り布のついた「忍び駒」は通常、観光案内所とお土産グッズショップを兼ねた「まちなかビジターセンター」で求めることができます。花巻市街地で川沿いに立つ、蔵造りの建物です。ただ、いずれにせよ完全に手作りのため作れる数がとても少ないので、ここでも制作元でも在庫がない場合があります。つまり、レアモノ。確実にほしい人は、事前に問い合わせて在庫を確認したり、予約したりするのが良いでしょう。

「小田島民芸所」さんでは「忍び駒」の製作体験講座を小グループ~団体の予約で受け付けています。自分でイチから作れば、想いの強さがもっと伝わるかも!?なかなかそこまでは難しいという人は、遠野の「伝承園」に行けば、だいぶ小ぶりですが似たタイプのワラ馬「遠野馬っこ」を個人でも気軽に予約で手作り体験できますよ。しかも遠野には、これまた知る人ぞ知る強烈な縁結びスポットがあるんです。これはもう、遠野に行くっきゃない!



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JR釜石線は景色がとてもよく、車窓から森や渓流や牧場が見えて、絵本のような世界に浸れます。土日祝の運転日なら、SL銀河に乗れたり出会えたりというお楽しみも。遠野駅では約1時間にわたる補給停車もあるので、乗れなくてもたっぷり見られるチャンス。

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遠野駅の愛称は、その名も「フォルクローロ=民話」。柳田國男が遠野で民話や伝承を聴き集めた「遠野物語」で有名です。遠野といえば、もちろんカッパも登場。

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駅のホームから、すでにカッパだらけ。


まずは例の縁結びスポットに向かいます。駅から約2.5km、これも「遠野物語」に出てくる場所。「卯子酉様(うねどりさま)」という変わった名前でよばれる小さな祠です。どうやら川の神様らしいのですが…謎が多いのも民間伝承の魅力。
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なんかもう、とにかく効きそうなこのビジュアル!問答無用って感じです。赤い布に願い事を書いて左手だけで結べば「不思議に男女の縁が結ばれた」と「遠野物語」に書いてあるくらいですから、効果は実証済み!?右利きの人にはちょっと難しいですが、ここはプチ修行と思って気合いでミッション完了を。


残すは、「伝承園」での「遠野馬っこ」作り。こちらは路線バスなどで行くことができます。

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入り口には、巨大なカッパが鎮座。

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園内には、古民家や水車など、昔の建物がたくさん立ち並びます。

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やはり古民家を使った工芸館で作れる「遠野馬っこ」。同じく予約で、絵馬の絵付けとお手玉作りも体験できます。

花巻・遠野をはじめとする岩手の南部地域では、人々の生活を助ける馬を大切にしてきました。「伝承園」にも、「曲がり家」という馬小屋とくっついた作りの古民家が残されています。馬の健康を祈って、家の中には馬の姿を描いた南部絵馬が飾られていました。

「遠野物語」には、馬と人間の少女との恋の物語まであるくらいです。現世で引き裂かれた馬と少女は抱き合って天に昇り、オシラサマという養蚕を守る神様になりました。
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「伝承園」には、蚕のえさとなる桑畑に囲まれた「オシラ堂」も(上写真)。堂内には、千体ものオシラサマがひしめくように祀られています。オシラサマの服に願い事を書いて着せることもできるので、ここまでやれば縁結びミッション達成度も相当なものに!



せっかく遠野まで来たんだから、カッパスポットも巡ってしまいましょう。

伝承園から歩いてすぐのところには、カッパ狛犬の常堅寺。
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頭にお皿のある、カッパ狛犬。お寺の裏に流れる小川「カッパ淵」にたくさん棲んでいたカッパが狛犬になったと言われています。

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そしてこちらが、「カッパ淵」。いたずらなカッパがよく馬を水中に引きずり込もうとしたとか。時々、馬に負けて引きずり出されることもあるというのがなんともお茶目。

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「カッパ淵」には、お乳の出がよくなるというカッパの祠があります。

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祠には、伝承園で買ってきたカッパ絵馬を奉納。らくがおしたくなっちゃう。子供の字で、カッパハンターになりたいって書いてあるのが目立ってました。

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誰かがキュウリでカッパを釣ろうとしてる!?

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カッパ捕獲許可証は、遠野駅前の観光協会で発行しています。
裏面記載のルールを守って、めざせゴールド免許。

2014年10月15日掲載分21
SL銀河でたどる縁結びの旅、次回は終点の釜石から三陸鉄道南リアス線に乗り換えてもう一足、今話題のLOVEあふれるスポットを目指します。

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●小田島民芸所 公式サイト www.odasima.com
≪アクセス≫
・JR花巻駅より徒歩約10分
岩手県花巻市材木町10-20
0198-23-4856
営業時間 AM09:30~PM05:00

「忍び駒」制作体験の予約窓口は花巻観光協会になります(小グループ~団体のみ)。

●卯子酉様
≪アクセス≫
・JR遠野駅より約2.5km、車で約8分 レンタル自転車で約15分
・定期観光バスやタクシーの利用が便利です。
岩手県遠野市下組町11

●遠野伝承園 公式サイト www.densyoen.jp
≪アクセス≫
・JR遠野駅から早池峰バス附馬牛線(つくもうしせん)大出行き「足洗川」バス停下車徒歩3分
・JR遠野駅から早池峰バス土淵線恩徳行き「伝承園」バス停下車(本数極少注意)
・JR遠野駅より車で約20分 レンタル自転車で約30分 上記いずれにしてもバスの本数が少ないので要注意
岩手県遠野市土淵町土淵6地割5番地1
0198-62-8655
開園時間 AM9:00~PM17:00
入園料 大人320円、小中高校生220円

テーマ : 神社・仏閣巡り
ジャンル : 旅行

【再録】天地の恵みと人の情熱、魂のアートにタッチ! 飛騨開運乃森大七福神

円空という仏師の名前をきいたことがありますか?江戸時代の人ですが、数年に一度は東京の美術館や博物館で展覧会が開かれ話題になるくらいの人気者です。素材となる木の自然のままの姿を生かしたワイルドな作風は、日本の神仏像彫刻の原点でありながら、現代美術にも多大な影響を与え続けています。

そんな円空が生涯で最も多くの作品を残した土地、そして古代より木工技術のすばらしさで名高い飛騨では、円空の技法を忠実に再現する「円空彫り」を専門に行う彫刻家が昭和の頃から活躍し、現代まで受け継がれてきました。

2014年10月01日掲載分01
上の写真はそのパイオニアの一人、中村円正さん作の巨大な不動明王像。円空をまだ知らない人は、大体こんな感じと思っておけば間違いないです。さて、この像が納められているのは、「飛騨の里」というメジャー観光スポットのすぐ隣、「飛騨開運乃森大七福神」(下写真)の右側の階段を上ったところにある細長い建物。木のうしろに隠れてしまっていますが、このスケール感、わかるでしょうか?
2014年10月01日掲載分02

そしてこの奥に待ち受けているのは、日本一巨大な木造の七福神。先ほどの中村円正さんと、「甚五郎彫り」が専門の山村佐藤兵衛さん、そして身を削って2人を支援し続けた初代オーナー倉坪信雄さんの、人生を捧げた汗と涙と夢の結晶です。荒々しい円空彫りと、これまた飛騨にゆかりのある伝説の名工「左甚五郎」をルーツにもつ繊細な甚五郎彫りの壮大なコラボレーション。この超大作を、とくとご覧あれ。

2014年10月01日掲載分03
開運乃森には、広大な自然林の中、合掌造りで有名なあの白川郷から移築した江戸時代の米倉が立ち並びます。この中に一体ずつ、七福神が納められているというわけ。それでは、入口に近いほうから順に巡ってみましょう。



2014年10月01日掲載分04
まずは、余裕のある暮らしをもたらし心をおおらかにしてくれる布袋さん。高さ3m50cm、そしてこの横幅。いきなりこの重量感は圧倒的!どのお像も、樹齢1000年の巨木一本から彫り出されています。しかも、生きている木を切り倒してくるのではなく、埋もれ木を使っているので地球に優しいんです。だから、これだけの大きさのものを見つけてくるだけでも大変なこと。すごい!なおバックに貼ってある手描きの馬の絵は、飛騨独特の福を呼び込む開運アイテム「紙絵馬」です。これも大きい!

2014年10月01日掲載分05
布袋さんの足元には、願掛けしゃもじが。七福神すべてにこのコーナーがあるので、願い事に合わせて好きな神様に奉納してみては。



2014年10月01日掲載分06
お次は勝負の神様、毘沙門天。足は木の根元そのままです。御神木の中から神様が現れてくる瞬間をとらえる、日本古来の神仏像彫刻の精神が見事に体現されています。

2014年10月01日掲載分07
高さ7.5mもあるので見上げてもなかなか見えない、引き締まった力強いお顔をアップで。

2014年10月01日掲載分08
後ろはもう、巨木そのもの。



ところで、何と言っても嬉しいのは、ここの七福神像は全てが間近で触り放題ということ。後ろにだって回れちゃう。どこかの誰かみたいに感動のあまり抱きついちゃったって誰も困らない、むしろ推奨って感じです。仏像好きにとって、まさに夢のような空間。これは穴場ですよ。写真だって撮り放題。五感を全て駆使して、知る人ぞ知る傑作群を味わい尽くせっ!



2014年10月01日掲載分09
並んで、美と幸運の女神、吉祥天も同じく高さ7.5メートル。吉祥天は毘沙門天と夫婦なので、縁結びにもご利益ありそう。やはり背の高い木を生かした形で後ろがなめらかなので、この2体は特に抱きつきたくなります。

2014年10月01日掲載分10
いかにも円空風の、空中から湧き上がるような足元の雲模様が神秘的。

2014年10月01日掲載分11
色を塗らずとも華やかで、重厚感があるのになぜか軽やかな羽衣の造形感覚には、日本橋三越にある佐藤朝山の高密度でカラフルな天女像にも通じるものを感じます。

2014年10月01日掲載分12
伝統と斬新さを併せ持つ、これらの作品はすべて木の形から天啓のようなインスピレーションを得て彫り出されたもの。たとえばこの吉祥天なら、木の中に舞い降りる天女の姿が見えた、という具合です。これって、まるで夏目漱石「夢十夜」の運慶。でも夢じゃなくて、仏師/彫刻家にとってはこれがリアルな感覚なのでしょうね。



2014年10月01日掲載分13
先の2体に次いで背の高いのが、長寿と健康の神様、福禄寿。6m50cmあります。ちなみに、通常の七福神と違って吉祥天がいるぶん、寿老人はいません。仙人風おじいちゃんキャラがかぶるので女神様と入れ替わるパターン。繊細で慈愛に満ちた、素敵な笑顔です。

2014年10月01日掲載分14
この福禄寿像の何がすごいかというと、台座から杖に沿って、木がばっくり裂けていること(上の写真に注目!)。それなのに、よほど注意して見ないと気付かないくらい、全体としてまったく破綻のない造形。木そのものに神性を見出す平安時代からの神像彫刻、あるいはその感覚の延長上にある円空の神仏像では、たとえ木が曲がっていようと裂けていようと、無理に変えようとはしません。造りたい形よりもそういった木の特徴を優先して、あるいはより違和感なく取り込んだり、個性として生かしたりと、ありのままを尊重してきました。これを近代にこの巨大さで実現してしまう匠の技と心意気には、ひたすら驚くばかりです。

2014年10月01日掲載分15
福禄寿像の下には、造像にとりかかる前に試作した小さな雛形が。ちょっとカワイイ。このラフ具合も、円空っぽいです。こちらも体の真ん中に裂け目が入っていますね。



2014年10月01日掲載分16
木の形が思いっきり生かされているのが、知恵と芸術の女神、弁財天。光背から伸びる大きな枝の先に、「福徳」の文字が刻まれています。雲の中をうねる龍の台座もすべて、もちろん同じ一本の木です。この龍の姿も、もともと原木に浮かんでいた形を整えて彫り上げたとのこと。

2014年10月01日掲載分17
彫り出す前の形が想像できる後姿。力強い大枝は大自然の生命力そのもの。

2014年10月01日掲載分18
裸弁天なので、とてもセクシー。世界と命の美しさを全身で歌うエネルギッシュなお姿だと思います。

2014年10月01日掲載分19
恍惚にして憂いを秘めたお顔の表情が魅力的です。



さて、いよいよ一番奥に鎮座ましますのは、親しみやすくオールマイティな福の神コンビ、えびす様と大黒様。
2014年10月01日掲載分20

2神を納める倉の傍らには、湧き水が。
2014年10月01日掲載分21
七福神を作り始めてから1700日目に啓示によって湧き出た、奥の院「神泉宮」から引いている、幸運を呼ぶ水です。遠くからボトル持参で汲みに来る人が後を絶たないとか。

倉の中に入って、えびす様大黒様に大接近。
2014年10月01日掲載分22
一本の木を2つに割って造られた、双子のような神様たちです。混じりっ気なしの笑顔が、一目みただけで幸せな気分にさせてくれます。

壁には、制作途中に撮られた2人の作者、中村円正さんと山村佐藤兵衛さんの記念写真が飾られていました。
2014年10月01日掲載分23

宗教ではなく、夢とロマンがあって誰もが心やすらぐ場所を造りたいという初代オーナーさんの想いで、最初に生み出されたのがこの2神。やがて大黒様からの「わしの仲間を増やしておくれ」という夢のお告げを受け、七福神を揃えていったそうです。最後まで完成するには15年の歳月を要し、総製作費は実に3億円。幾多の苦難を乗り越え、すべてを懸けて造り上げた魂のふるさとのような開運乃森には、並々ならぬ情熱でたぐり寄せられた数々の奇跡が詰まっています。

2014年10月01日掲載分24
その中でも一番の要となるのはやはり、素材となる木との出会い。こちらの大きな袋をかついだ大黒様、後ろに回ってこの袋にさわると開運まちがいなし!とのこと。はたして、そのココロやいかに…?これには、実際に見て触れればわかる秘密がありました。

そんな後ろ姿が、こちらです。
2014年10月01日掲載分25
なんと袋は、天然のままの巨大な木のこぶそのもの。触っていると、この奥には木のうろが隠れていることもわかり、母なる大地に包み込まれるような奥深いぬくもりを感じられます。大自然が計り知れない年月をかけて生み出したアートとも言うべきこの形の木に偶然出会ったこと、そしてそこに大黒様の姿を見出したことこそが、運命の始まりだったのです。「神は創造の原点にあり人は想像の接点にある」という、初代オーナーさんの手記を締めくくる言葉が現実のものとして迫ってきます。こぶは「ヨロコブ」。この袋の中にはまさしく、人の力と天のはからいが織りなす不思議な縁の積み重なった歓びがあふれています。ぜひ両手でなでて、直接感じて、奇跡の幸運をチャージしていってください。必ず何かしら胸にこみ上げてくるものがあるはずです。

2014年10月01日掲載分26
地元では、大黒様の写真を撮ったら印刷して財布に入れると金運が良くなる、なんて言い伝えも。写メして携帯の待ち受けにしても、いいことありそう。私は、上の写真を高解像度でPCの壁紙にしてみましたよ。起動するたびに思わず頬がゆるんで、なんともイイ感じです。しかも数日後にささやかな臨時収入があったり。これは期待できるかも!?

2014年10月01日掲載分27
大黒様の足元には、愛らしいお使いのネズミが2匹。これも同じ木から生み出されたそうです。今にも動き出しそうな生命感が、それこそ左甚五郎みたい。細かいところまで行き届いた飛騨の匠の技。どの作品にも、見れば見るほど見飽きさせない力があります。開運乃森大七福神は、甚五郎と円空のふるさと、飛騨の心を現代に五感で伝えてくれる密やかな発信基地なのかもしれません。

2014年10月01日掲載分28
神社仏閣じゃないけど御朱印もちゃんとあります!ハンコをたくさんちりばめるのは飛騨の紙絵馬の特徴だったりするので、なにげに芸が細かいなと思いました。すぐ隣の「飛騨の里」では重文建築や合掌造りを含む30軒以上の古民家を見学できたり、さるぼぼや飛騨刺し子など民芸の実演・体験施設も充実。開運乃森大七福神と合わせて、丸一日で古き良き飛騨を満喫できるエリアです。日本の匠の技と心は飛騨にあり。大正の文化人にも愛された飛騨のモノつくり魂、ぜひ一度浸ってみてください。そうそう、合掌造りといえば、白川郷も高山駅前からバス一本で行けるので、プランに組み込むと良いかもです。

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●飛騨開運乃森大七福神
≪アクセス≫
・JR高山駅隣の濃飛バスセンターより「さるぼぼバス」約10分「飛騨の里」下車徒歩2分
岐阜県高山市西之一色町3-2021
0577-33-3317
拝観料:中学生以上500円 小学生100円 小学生未満無料
3月~11月:無休 AM8:00~PM5:00
12月~2月:不定休 AM8:30~PM5:00

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鏑木麻矢

Author:鏑木麻矢
文筆家。著書「ニッポンのおみくじ」(グラフィック社刊)もうすぐ発売。2012年5月から2014年12月まで、㈱H.I.S.公式ブログとして「麻矢の不思議カワイイ!?ご利益モノがたり」連載。現在、当ブログ内にすべて再録。縁起物をこよなく愛する。約20年来、巷間の多種多様なおみくじを自らの足で歩いて独自に収集・研究中。絵馬コレクターでもある。かつて、仏像マニアのテレビ番組に出たことも。全ては神社仏閣・仏像巡り趣味から始まっている。旅と町歩き・路上観察、手仕事なモノ(郷土玩具、民藝)、美術鑑賞(月に最低2回位は美術館博物館に行くのが癒し)、古風なもの、レトロな雰囲気などが好き。何にせよ、知られざる面白いモノゴトを自分なりに発見していきたいです。他、天然石・鉱石やトランプ・占いカード等、気まぐれかつ雑多な収集癖あり。以前、下手の横好きでオペラを習ったこともあったり(今も観賞大好き)。何でもとことんハマるのが生き甲斐。

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