平野多恵先生新刊「おみくじのヒミツ」と、今年の歌占イベント。

和歌のおみくじ「歌占(うたうら)」の文献史料を中心におみくじの研究をしておられる成蹊大学の平野多恵先生が、昨年末に新刊を出されました。

神さまの声をきく おみくじのヒミツ(河出書房新社刊)

何気なく引いてしまっているおみくじですが、もっと自分の生活がよりよくなるように(ある意味では「運気がよくなる」と言い換えてもいいのかもしれません)、活用する方法があります。そのために有効なのは、おみくじの内容を的確に読み解き、そこに込められたメッセージと上手に付き合うこと。この具体的なやり方を、これほど丁寧にわかりやすく解説した本は他にありません。

おみくじの歴史に関する基礎入門やコラムなどももちろん見識の深さが素晴らしいのですが、この本の場合は何より、読んでいて思わず「あるある、あるかも!?」と納得・共感してしまうような日常に根付いた学生さんたちの実体験から、これぞ著者の本領発揮な説話等にもとづいた歴史上の人物による意外なほど親しみやすい不思議エピソードまで、とにかく豊富な「実占例」が最大の特徴となっています。

どれも状況に合わせた占いとしての和歌解釈の実例なので、読んでいくうちにだんだん感覚がつかめてきて、気が付いたら友達の引いた和歌おみくじを解説してあげられるレベルになれるはずです。そこには人の心と和歌との相互作用的なナラティブ・セラピーの要素が多分にあるので、心理学系の人や占い師を目指す人にもオススメ。巻末の「おみくじ帖」も、自己省察を深めるのに役立ちますよ。


また、同じく平野多恵先生が古典の占いや神託に関する史料を渉猟して編んだ和歌のオラクルカード「歌占カード 猫づくし」と組み合わせて使うことで、より深く占えるようになります。絵柄も純和風でかわいいし、占い慣れしていなくても直感でわかりやすい上に占い方の幅が広く、使い込むほどに奥深い解釈ができる大変ポテンシャルの高い占いカードです。プロのカードリーダーさんにも愛用され始めている様子。気になった方はこちらの紹介記事もぜひご覧ください。カード占いも「おみくじ帖」のように記録を取るとなお良しですね。


ところで、以上2冊を平野多恵先生がご出版されるきっかけになった場所とイベントがあります(その10年ほど前から和歌おみくじの研究を続けていらした成果がそこで世間に花開いたという感じです)。

それが、このときわ台天祖神社です。
20160127220242660.jpg

2015年に、平野多恵先生のゼミで作成されたオリジナルおみくじ「天祖神社歌占」が誕生。同年から、お正月に境内で歌占の紹介イベントが行われるようになりました(特に展示内容が濃密だった2016年の様子はコチラの記事で!「歌占」についても色々わかります)。

20160128030423873.jpg
「天祖神社歌占」では室町時代の歌占と同じように、呪歌を唱えてから弓に吊り下げられた短冊を引きます。

今年2018年もお正月にときわ台天祖神社でイベントがあったので、東京は遠いけれど気合入れて先生のいらっしゃる日にお邪魔してきましたヾ(・∀・)ノ

ちなみに江戸時代にもこんな感じで歌占が行われていたそうですよ。
KIMG0016.jpg
今年展示されていた「伊勢参宮名所図会」より(クリックで拡大できます)。

イベント会場は昨年できたばかりの「杜のまちや」。
ときわ台駅から歩いて天祖神社に着くまでの数軒手前にあります。
KIMG0009.jpg
ベンガラ壁風の和モダンな外観がお洒落。

KIMG0021.jpg
入ってすぐの1階もウッディで落ち着きます。
時期によってはカフェをやっていることも。

壁に映し出されているのは境内の様々な風景。
パネルのコーヒー飲んでるちょんまげおじさんは太田南畝がモデル。
日本で初めてコーヒーを飲んだ人と言われています。
ときわ台天祖神社に参拝に訪れた記録があるとのことです。
これにちなんだコーヒーも売ってたりしますよ。

2階がイベント&ギャラリースペース。
KIMG0057.jpg
この日は本来解説するはずの大学院生さんがインフルエンザで病欠、
ピンチヒッターで平野多恵先生自ら熱弁をふるって下さっていました。
巫女装束がキマッてます!

解説内容は、和歌おみくじの成り立ちと天祖神社歌占の概要。
普通の和歌おみくじの見方もわかるので、普段おみくじに興味がない人でもつい引いてしまう初詣のついでにこうして解説が聴けるのはとても意義深いと思います。

天祖神社歌占ならではの特徴は、ときわ台天祖神社ゆかりの神々が弓に下がった短冊を通してあらわれること。出てくる神様は、本殿と境内社に祀られている神々に加え、拝殿内に掲げられている「天の岩戸開き」神話の場面を描いた絵馬に登場する神々で、合計16柱となっています。

パネル展示では、天祖神社歌占の結果の紙と同じイラストで神々を紹介。
KIMG0019.jpg

そして先ほど先生が立っていた横には「天の岩戸開き」絵馬の複製。
KIMG0011.jpg
高精細写真パネルなので、実物より鮮明だとか(クリックで拡大)。

絵馬に登場する神様については、天祖神社歌占のイラストでも服装やポーズなどを絵馬の雰囲気に近づけているそうです。

歌占を引くともらえる結果の紙に書かれた和歌では、出てきた神様のパワーを31文字に凝縮して表現しています(内容の解説も書いてあるので、よくわからなくても大丈夫)。吉凶や細かい運勢項目などはありませんが、和歌だけで「それはどういうことなのか」を読み取り占うのが歌占本来のあり方。その神様の力が宿った和歌を自身の感性でフルに味わうことで、今の自分を守ってくれている神様とつながり、ご縁を結ぶことができるのです。

私が引いたのは埴山姫神(はにやまひめのかみ)という土の女神でした。
IMG_20180119_173130_775.jpg
埴輪(はにわ)の「埴」で、土器作りの神様でもあります。
今年は土のように地道にモノ作り系のことをがんばっていきたいです。。。

写真左下の木札お守りは、お正月限定で付けて頂けます。
(お守りなし版なら社務所さえ開いてればいつでも引けます!)
裏には同じ神様の名前が書かれていて、守られ感アップ!
ちなみに絵馬に登場する「八咫鏡」が出たときだけ木札ではなくご神鏡お守りが頂けるという心ニクい趣向も(ちょっとうらやましいぞ)。

KIMG0026.jpg
さらに、出てきた神様が祀られている場所を参拝すればご縁強化!
埴山姫神は境内社「榛名神社」でした(写真の小さなお社)。
ちなみに絵馬に登場する神様が出た場合は本社参拝でOKです。


KIMG0013.jpg
展示スペースには天祖神社歌占の掲載書籍紹介コーナーも。
拙著「ニッポンのおみくじ」と、不肖私の名前が平野多恵先生と一緒に載っている日経プラスワン「くらし物語」のおみくじ記事が置かれていて嬉しさひとしおでした!


IMG_20180115_125835_838.jpg
平野多恵先生と鏑木のツーショットで記念撮影o(≧▽≦)o


KIMG0017.jpg
ギャラリーでは久保田光一氏の「聖地」写真展も同時開催されていました。
水墨画のような独特な空気感の写真で、東京にいながら巡礼気分♪
ときわ台天祖神社「杜のまちや」は、折に触れて素敵企画が満載なのです!


KIMG0037.jpg
なお、この日は小正月の1月14日で、境内では「どんと焼き」と餅つきも行われました。正月飾りをお焚き上げするどんと焼きの炎であぶった餅を食べると一年間無病息災と言われています。巨大竹串であぶるの楽しいです(゚∀゚)

毎年大体、少なくともお正月の三が日と「どんと焼き」の日には歌占イベントやってると思います。今度の年末が近づいたらぜひ「ときわ台天祖神社」WEBサイトで日程をチェックの上、おみくじの神髄がわかる貴重な初詣にお出かけください!















スポンサーサイト

テーマ : 占い
ジャンル : 趣味・実用

おみくじを広報ツールにする。

先日、ユニークなおみくじを多数手がけていらっしゃる業者様
シープロジェクト/江坂おみくじ研究所」さんにお邪魔させていただきました。

シープロジェクトさんは中国語を中心とした多言語(マイナー言語含む!)翻訳業務メインの会社ですが、近年最も売れているのは同社で製作しているおみくじなんだとか。

多言語おみくじ、寺社を巡っていると頻繁に目にするようになってきましたよね。
IMGP3701.jpg
こちらがシープロジェクトさん手がける最もベーシックな多言語おみくじ。
熊野那智の飛瀧神社ほか、各地の神社仏閣で使われています。
日本語・英語・中国語繁体字・中国語簡体字・韓国語の5ヶ国語表記です。

IMGP3704.jpg
こちらは平等院ハワイ別院の限定デザイン。日本語/英語。
平等院鳳凰堂と鳳凰に、当地でしか手に入らないありがたみがっ!


同社の多言語おみくじの中でも、特に力作が↓このシリーズ。
IMGP3706.jpg
もちろん英語やフランス語をはじめ、さまざまな言語に対応。
日本の四季の行事を表現した萌え系イラストが描かれています。

「おみくじ」をはじめ「伝統」や「アニメ」といった日本文化を世界に発信する目的で作られました。楽しく運試ししながら日本の色々なことにもっと興味を持ってもらえたら嬉しいですよね。日本人が引いても語学の勉強になりそう。
国内では沖縄ワールドなど、外国人観光客の多い場所で使われています。

全体的な占い内容としては旅行者や留学生を意識してか、旅をもっと楽しめるようそれとなく勧めたり、勉強や仕事へのチャレンジを勇気づけるような文言が多いと感じました。凶はありません。前向きにがんばれるよう励ましてくれるおみくじです。


多言語おみくじの他にも、シープロジェクトさんでは新しくて特徴あるおみくじが日々生み出され続けています。

「おみくじ研究所」と銘打つだけあって日頃から研究熱心!
社長さん自らによる全国のおみくじコレクションも素晴らしいものでした。

常に各地のおみくじの動向を参考にしながら、その場所ならではといえるような面白いおみくじを作り出していく情熱には感服するばかりです。

その一例が、静岡県「あわしまマリンパーク」の「開運かえるみくじ」。
IMGP3705.jpg
かえるの展示種数が日本一を誇る水族館です。
「あかめあまがえる」のラッキーアイテムは「赤いサングラス」www
洒落がきいている上、かえるについての詳細な解説がとても勉強になります。

こうした文化施設のおみくじには、展示内容にもっと興味を持てるような情報を盛り込んでいくのが必須ではないかと私も色々なおみくじを見てきた上で考えています。あるいは観光施設や町おこし系のおみくじならば、ご当地ネタなどがあればその場所らしさが際立って楽しくなるばかりか、出てきたキーワードについて「そこに行ってみたい」「もっと知りたい」「買ってみようかな」などという気にもなってくるはずです。

要は、運命を感じてしまう、とでも言えるでしょうか。
おみくじという形で情報を受け取ることで、その情報は不特定多数に向けられたものではなく自分だけに向けられた(と錯覚し)、自分にとって特別なものに思える効果が間違いなくあるのです。

いずれもおみくじという「偶然の神秘」を介して、引く人がそれまで知らなかった何かを「知る/知らせる」機会となります。私自身も昨年末のNHK「ひるまえほっと」内「いまほん」での拙著「ニッポンのおみくじ」内容紹介で申し上げました通り、
現代のおみくじは人と情報との縁結び
という重要な役割を担い始めているのだと強く感じていました。

そしてそれがシープロジェクトさんと出会って、確信に変わったところです。
やはり「おみくじ」が情報発信のひとつの形であることや、お店などの販促ツールとして役立つ側面にも注目しておられました。
そうした方面では、色々なお店やイベント等でお客さんの気分を盛り上げたりクーポンを付けたりするようなタイプのオーダーメイドおみくじもたくさん手がけておられ、ここでは大人の事情で紹介できませんがサンプルをいくつか見せていただき、とても興味深かったです。

まあ、誰が作ったのかわからないからこそ「おみくじ」は神秘の呼び声となりうるものですから、わからないほうがいいこともあるんですよ。。。(* ̄▽ ̄)フフフッ♪

拙著「ニッポンのおみくじ」で掲載している中にも、これまた大人の事情(笑)でどれとは言えないのですが、観光施設や町おこし系のおみくじにはいくつかシープロジェクトさん謹製のものも含まれていたりします。どれも幅広い層の心に響くような楽しいものばかりでした。

おみくじが元来もっている面白さの本質をとことん追求し、それをさらに生かしながら現状よりもっともっと面白くしていくことで、確実に現代おみくじのニューウェーブを作り上げているとてもチャレンジングな業者さんです。



ちなみに「シープロジェクト/江坂おみくじ研究所」の社長さんは本を2冊出版していらっしゃいます。


1冊目はエッセイ付きで中国語のイディオムを学べる語学参考書ですが、元気の出るエッセイばかりなので、毎日1回「おみくじ」のようにランダムにパッと開いて出てきたところの内容を噛みしめ1個おぼえる、みたいな使い方をすると有効そうです。


2冊目は著作というか中国のビジネス書の翻訳なのですが、きれいな上に熱のこもった翻訳を書くというのは原典を完全に自分のものとして消化した上で作者になりきってイチから創作するのと同じだと思います。訳者自身も含め、これまで誰もやらなかった分野に果敢に挑戦していく人たちの生き方を垣間見ることで勇気をもらえる良書です。

現代において「おみくじ」や占いを作るというのは基本的に、誰かを元気にするための言葉を一生懸命考えることと密接につながってきています。おみくじ製作に携わっていく上で大切なのは、そのベースとなる人生観に他ならないということも何となく感じられるような2冊のご著書でした。



オフィスをお邪魔したあとは、ご一緒に「裏なんば虎目横丁」に呑みに繰り出しました。全部で9店舗入っている中から、横丁内であれば席にいたまま他のお店の出前を取ったりもできるという、屋台村テーマパークみたいなスポットです。
KIMG1007.jpg
前を通ると流れてくる「楽しく飲んで健康!開運!」「ダイエットは明日から~♪」みたいなアナウンスがいかにも大阪っぽくてイイ感じです!そんな面白ワールドへと誘う鳥居がまた趣深いヾ(・∀・)ノ

KIMG1010.jpg
そして、入り口のわきには、おみくじ結び処がっ!
そうです、実はここも商業系おみくじスポットなのですよ。。。

内装のレトロ感もたまりません!!!
KIMG1016.jpg

まさに古き良き横丁風情♪
KIMG1018a.jpg

本日の拠点とするお店を選んで席に着きます。
1杯目のドリンクをオーダーしたときに、1人1回おみくじがもらえます!
KIMG1013.jpg

見事大吉を引き当てれば、お店ごとにドリンク一杯無料などの特典が。

大吉じゃなくても、お食事券が当たる抽選券になっていて夢がある!
(なのに応募せず持ち帰ってしまうのがコレクターの悲しい性w)

ここのおみくじも、販促ツールとして使われている良い例ですね。
(ちなみにシープロジェクトさん作ではありません。念のため!)

内容もお酒や飲み会に絡めてあるので、会話が盛り上がります。
ちょうど「おみくじ」のイメージにぴったりなこの時期、
裏なんば虎目横丁」を新年会に利用してみてはいかがでしょう。
大阪グルメが一通りそろっている点でも使い勝手良いですよ。

そんな感じで今回は、現代日本のおみくじの重要な一面を考えるお話でした。















テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

あけおめワン。

あけましておめでとうございます。

勝手に毎年恒例の自作絵馬はこんな感じになりました。
IMGP4088.jpg

絵馬好き同志の友人には、相変わらずこれで年賀状替わり。
初めて手描きに挑戦しましたが、大体同じような感じに描けるようがんばりました(汗



IMG_20171230_233138_386.jpg

さて、犬の縁起物といえばこれ。
今年のお年玉切手のモチーフにもなってましたね。

猫じゃないよ。ドラ〇もんでもないよ。
(日本犬を描くのって猫・狐・狸っぽくなりがちでむずいよね!)

我が家の「犬張子」たちです。

犬は多産なことから、「犬張子」は安産のお守り。
だから赤ちゃん用の「でんでん太鼓」を背負っていたり。
また、ザルをかぶった犬張り子は漢字の「犬」に「竹」をかぶせると「笑」に似ていることから特に喜ばれています。

読者の皆様におかれましても、笑顔あふれるワンダフルな一年になりますように!

   

選ばれました!2017年9月現在
おすすめブログ認定
検索フォーム
オススメ記事
最新記事
おみくじたんbot
  (取扱説明書はコチラ)
リンク
最新トラックバック
最新コメント
おみくじプランナー
おみくじの作り方個別指導塾のようなものを始めました。

おみくじに関する情報提供・相談業務を有料で承ります。

おみくじをオリジナルで作ったり活用したりしてみたいけれど良いアイデアがなかなか浮かばない方へ!

個人様や小規模な寺社様・商店様など大歓迎です。できる限り自前でお安く魅力的なものができるよう丁寧にサポートいたします。
お気軽にどうぞ。

↓お問合せはこちら
おみくじ活用サポートセンター ↑メディア関係の方も、仕事依頼についてはこちらです。
 著書
プロフィール

鏑木麻矢

Author:鏑木麻矢
文筆家・おみくじプランナー。著書「ニッポンのおみくじ(グラフィック社刊)」発売中。2012年5月から2014年12月まで、㈱H.I.S.公式ブログとして「麻矢の不思議カワイイ!?ご利益モノがたり」連載。現在、当ブログ内にすべて再録。縁起物をこよなく愛する。約20年来、巷間の多種多様なおみくじを自らの足で歩いて独自に収集・研究中。絵馬コレクターでもある。かつて、仏像マニアのテレビ番組に出たことも。全ては神社仏閣・仏像巡り趣味から始まっている。旅と町歩き・路上観察、手仕事なモノ(郷土玩具、民藝)、美術鑑賞(月平均2回以上は美術館博物館に行くのが癒し)、古風なもの、レトロな雰囲気などが好き。何にせよ、知られざる面白いモノゴトを自分なりに発見していきたいです。他、天然石やらトランプ・占いカード類やら喫茶店マッチやらと、気まぐれかつ雑多な収集癖あり。以前、下手の横好きでオペラを習ったこともあったり(今も観賞大好き)。気になったらとことんハマるのが生き甲斐。

当ブログの著作権は著者に帰属します。引用するときは引用元記事もしくはブログトップページへのリンクを必ず行ってください。

カテゴリ
QRコード
QR
月別アーカイブ
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる