【再録】京都が異界とつながる日・その1 六道珍皇寺

京都といえば、祇園祭も終わって夏たけなわ。そろそろ五山送り火が待ち遠しくなってきますね。送り火はお盆の風物詩ですが、京都では他にも、ご先祖様をお祀りする伝統的な行事がたくさん生きています。というのも、京の人々は古くからの世界観と一体になった町で、異界の存在を身近に感じてきたから。現代っ子の私たちからすればミステリアスで、それだけ情緒豊かな京都のお盆。さて、どんな世界を垣間見られるでしょうか!?

東山の住宅やお寺が立ち並ぶ中、「六道の辻(つじ)」といわれる一帯があります。古来、あの世とこの世のつながる場所として、おそれられてきました。ここを守るお寺のひとつ、六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)。
2013年07月17日掲載分01

2013年07月17日掲載分02
普段は、人も少なく静かなお寺です。

このお寺が、年に一度にぎわう「六道まいり」の夜。
2013年07月17日掲載分03

今年は8月7日(水)~8月10日(土)の4日間。
境内はちょうちんで彩られ、とても幻想的です。

2013年07月17日掲載分04

六道というのは、死後、生きていたときの行いの良し悪しに応じて6つの世界のどれかに生まれ変わるという信仰。期間中、境内ではこれらの世界の様子を描いた寺宝の「十界観心図」や「地獄絵図」が飾られます(撮影禁止)。普通の展示ではなく、屋外で闇に淡く浮かび上がるライトアップで、妖しい空間が出現。見る者を異次元へと誘います。

六つの世界の一番上にランクする「天道」は、最もラクチンな天上の世界(ただし寿命があります)。その次に当たるのが、今私たちの暮らしている「人間道」。その下には、戦いばかりの「修羅道」、動物の世界「畜生道」、常にお腹がすいて満たされることのない「餓鬼道」、最後に「地獄道」と続きます。

2013年07月17日掲載分05

こう書くと怖そうですが、実際は素朴なタッチで描かれるブラックユーモアといった雰囲気。案外たのしくて細かいところまで見飽きることがありません(詳しく知りたいなら、今回の末尾に載せてある「熊野観心十界図・地獄絵絵解き」イベントがオススメです)。日々の生活を少しふり返ってみると、なんだかどれも現実世界の気分や状況に対応しているような気がしてドキリ。そう思うと、どの世界も等身大でいとおしい感じがしてくるから妙なものです。六道は、天道も含めて苦しみの多い迷いの世界。こうやって時々は自己反省しつつ、我欲をなくして苦しみの世界から逃れ、平穏な心の世界「極楽浄土」をめざそうというのが地獄絵に込められたメッセージです。

地獄との間を自在に行き来できるという不思議な井戸も。
2013年07月17日掲載分06
↑行きは庭園の奥にある「冥土通いの井戸」。すぐわきには高野槙(コウヤマキ)の木がはえています。この枝の穂先をつたってワープするのだとか。

2013年07月17日掲載分07

2013年07月17日掲載分08
↑帰りは、すぐ近くの飛び地にある「黄泉(よみ)がえりの井戸」から。

平安時代、文人官僚の小野篁(おののたかむら)が、ここを毎日通い、夜は地獄の官僚としてダブルワークしていたそうです。「冥土通いの井戸」の左にある祠「竹林大明神」は、彼の守り神だったと言われています。

閻魔(えんま)様や鬼などの地獄の住人と小野篁の像が居並ぶ閻魔堂も、「六道まいり」のときは夜間ライトアップで拝観できます(撮影禁止)。絵図と合わせて、イッツ・ア・地獄ワールドをご見聞あれ。

六道まいり限定の御朱印にも、閻魔様と小野篁さん。
2013年07月17日掲載分09
極楽へ行きたいと願って紺色の紙に金で書く、平安貴族の豪華な写経「紺紙金泥経」を思わせるかっこよさ。こんなところにも、浄土へのあこがれが込められているのかも。

「六道まいり」期間中には、秘仏で普段は姿を見られない六道珍皇寺の御本尊・薬師如来坐像を間近に拝める御開帳も。藤原時代につくられた重要文化財指定の薬師如来様は、エキゾチックで端正なお顔立ち。あらゆる病気をなおしてくれる仏様なので、左手に薬壷を持っています。
2013年07月17日掲載分10
屋外の小さな収蔵庫を開いての公開で、これまた夜はライトアップ。普通のお寺や博物館での仏像拝観と全く違った雰囲気は、必ず記憶に残るはず(撮影禁止)。

次回も引き続き、六道珍皇寺の「六道まいり」を探訪しつつ、その周辺も合わせて「六道の辻」のお盆の雰囲気をお伝えします。

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●六道珍皇寺 公式サイト http://www.rokudou.jp/
≪アクセス≫
・京阪電車「東山五条」駅下車徒歩20分
・市バス「清水道」下車徒歩5分
京都市東山区大和大路通四条下ル4丁目小松町595
075-561-4129
≪イベント≫
六道まいり 毎年8月7日~10日 朝から夜9時頃まで
特別公開(不定期) 2013年7月13日(土)~31日(水)、8月20日(火)~9月30日(月)
          10:00~16:00 拝観料600円
         *法要等により拝観できない日が生じる場合もあります。

●イベント「熊野観心十界図・地獄絵絵解き」(要予約)
  場所:西福寺(六道珍皇寺から徒歩2分です)
京都市東山区松原通大和大路東入2丁目轆轤町81
日時:2013年8月9日(金)17:30開場、18:00開演
料金:1000円 
寺宝の絵図を実際に見ながら、六道や地獄について楽しくわかりやすく解説。
地獄がテーマのユニークな音楽ライブもあり。
*詳しい場所・スケジュールや予約方法などは、下記のサイトをご確認ください。
イベント情報公式ページ http://maka2log.blog43.fc2.com/blog-date-20130701.html
イベント運営プロジェクトチーム「まか通」 公式サイト http://maka2log.blog43.fc2.com/

テーマ : 神社・仏閣巡り
ジャンル : 旅行

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鏑木麻矢

Author:鏑木麻矢
文筆家。著書「ニッポンのおみくじ」(グラフィック社刊)もうすぐ発売。2012年5月から2014年12月まで、㈱H.I.S.公式ブログとして「麻矢の不思議カワイイ!?ご利益モノがたり」連載。現在、当ブログ内にすべて再録。縁起物をこよなく愛する。約20年来、巷間の多種多様なおみくじを自らの足で歩いて独自に収集・研究中。絵馬コレクターでもある。かつて、仏像マニアのテレビ番組に出たことも。全ては神社仏閣・仏像巡り趣味から始まっている。旅と町歩き・路上観察、手仕事なモノ(郷土玩具、民藝)、美術鑑賞(月に最低2回位は美術館博物館に行くのが癒し)、古風なもの、レトロな雰囲気などが好き。何にせよ、知られざる面白いモノゴトを自分なりに発見していきたいです。他、天然石・鉱石やトランプ・占いカード等、気まぐれかつ雑多な収集癖あり。以前、下手の横好きでオペラを習ったこともあったり(今も観賞大好き)。何でもとことんハマるのが生き甲斐。

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