【再録】SL銀河で民話の世界へディープな縁結びの旅、ついでにカッパ 花巻・遠野

宮澤賢治ゆかりの花巻と民話のふるさと遠野を結ぶJR釜石線。この物語性にあふれた路線を走るSL銀河の誕生で、起点となる花巻もそれまで以上に盛り上がりを見せています。

2014年10月15日掲載分01
今年4月に運転を開始したSL銀河に合わせてリニューアルされた駅名標には、各駅ごとに宮澤賢治が愛した夢の世界共通言語エスペラント語の愛称が付けられています。花巻駅は、「チェールアルコ=虹」。

さて、なんとこの花巻には、古くから人々に伝承されてきた知る人ぞ知る強力な縁結びアイテムがあるとか!?そんなわけで、さっそく制作元を訪ねてみました。

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花巻駅から歩いて、毎年の干支や郷土色あふれるお土産用などの張り子人形をすべて手作りで生み出している「小田島民芸所」さんに到着。

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店内には、自家製になる鹿踊り人形を囲んで、各地の民芸品が所せましと展示されています。なお、普段はお店を開けていないので、じかに訪ねてみたい人は必ず事前に連絡を。

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お目当ての品はこちら。かつて円万寺というお寺で、片思いをしている人が誰にも見られないようにこっそりと奉納していたことから、「忍び駒」とよばれています。願をかけるときは裸のワラ馬ですが、恋が叶ったときにはお寺から一旦自分のところに戻し、写真のように色とりどりの布で飾って、もう一度お礼参りとして奉納していたそうです。ひそやかな想いを育ててそっと花を咲かせるような、美しい風習ですね。現在ではお寺に奉納することはあまりなく、自宅の神棚に飾ります。

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制作元だけで購入可能なのが、この裸状態の「忍び駒」。本来は自分で布を着せるものなので、飾り付け方に決まりはありません。自由にデコって願掛けしちゃいましょう。好きな柄のリボンなどで可愛くできて、しかも恋に効くということで、地元の女子中高生に大人気です。最近では、願をかけるときに想いを込めながら布やリボンを結び、神棚に置いて祈るのが主流。男子中学生が5色のリボンを一頭ずつの「忍び駒」に結んで「幸福戦隊ゴレンジャー」を誕生させた、なんて微笑ましいエピソードも。時代に合わせて形を変えながらも愛され続ける身近なパートナーとして、「忍び駒」は今日も誰かにこっそり幸せを運んでいるのです。

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最初から飾り布のついた「忍び駒」は通常、観光案内所とお土産グッズショップを兼ねた「まちなかビジターセンター」で求めることができます。花巻市街地で川沿いに立つ、蔵造りの建物です。ただ、いずれにせよ完全に手作りのため作れる数がとても少ないので、ここでも制作元でも在庫がない場合があります。つまり、レアモノ。確実にほしい人は、事前に問い合わせて在庫を確認したり、予約したりするのが良いでしょう。

「小田島民芸所」さんでは「忍び駒」の製作体験講座を小グループ~団体の予約で受け付けています。自分でイチから作れば、想いの強さがもっと伝わるかも!?なかなかそこまでは難しいという人は、遠野の「伝承園」に行けば、だいぶ小ぶりですが似たタイプのワラ馬「遠野馬っこ」を個人でも気軽に予約で手作り体験できますよ。しかも遠野には、これまた知る人ぞ知る強烈な縁結びスポットがあるんです。これはもう、遠野に行くっきゃない!



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JR釜石線は景色がとてもよく、車窓から森や渓流や牧場が見えて、絵本のような世界に浸れます。土日祝の運転日なら、SL銀河に乗れたり出会えたりというお楽しみも。遠野駅では約1時間にわたる補給停車もあるので、乗れなくてもたっぷり見られるチャンス。

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遠野駅の愛称は、その名も「フォルクローロ=民話」。柳田國男が遠野で民話や伝承を聴き集めた「遠野物語」で有名です。遠野といえば、もちろんカッパも登場。

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駅のホームから、すでにカッパだらけ。


まずは例の縁結びスポットに向かいます。駅から約2.5km、これも「遠野物語」に出てくる場所。「卯子酉様(うねどりさま)」という変わった名前でよばれる小さな祠です。どうやら川の神様らしいのですが…謎が多いのも民間伝承の魅力。
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なんかもう、とにかく効きそうなこのビジュアル!問答無用って感じです。赤い布に願い事を書いて左手だけで結べば「不思議に男女の縁が結ばれた」と「遠野物語」に書いてあるくらいですから、効果は実証済み!?右利きの人にはちょっと難しいですが、ここはプチ修行と思って気合いでミッション完了を。


残すは、「伝承園」での「遠野馬っこ」作り。こちらは路線バスなどで行くことができます。

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入り口には、巨大なカッパが鎮座。

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園内には、古民家や水車など、昔の建物がたくさん立ち並びます。

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やはり古民家を使った工芸館で作れる「遠野馬っこ」。同じく予約で、絵馬の絵付けとお手玉作りも体験できます。

花巻・遠野をはじめとする岩手の南部地域では、人々の生活を助ける馬を大切にしてきました。「伝承園」にも、「曲がり家」という馬小屋とくっついた作りの古民家が残されています。馬の健康を祈って、家の中には馬の姿を描いた南部絵馬が飾られていました。

「遠野物語」には、馬と人間の少女との恋の物語まであるくらいです。現世で引き裂かれた馬と少女は抱き合って天に昇り、オシラサマという養蚕を守る神様になりました。
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「伝承園」には、蚕のえさとなる桑畑に囲まれた「オシラ堂」も(上写真)。堂内には、千体ものオシラサマがひしめくように祀られています。オシラサマの服に願い事を書いて着せることもできるので、ここまでやれば縁結びミッション達成度も相当なものに!



せっかく遠野まで来たんだから、カッパスポットも巡ってしまいましょう。

伝承園から歩いてすぐのところには、カッパ狛犬の常堅寺。
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頭にお皿のある、カッパ狛犬。お寺の裏に流れる小川「カッパ淵」にたくさん棲んでいたカッパが狛犬になったと言われています。

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そしてこちらが、「カッパ淵」。いたずらなカッパがよく馬を水中に引きずり込もうとしたとか。時々、馬に負けて引きずり出されることもあるというのがなんともお茶目。

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「カッパ淵」には、お乳の出がよくなるというカッパの祠があります。

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祠には、伝承園で買ってきたカッパ絵馬を奉納。らくがおしたくなっちゃう。子供の字で、カッパハンターになりたいって書いてあるのが目立ってました。

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誰かがキュウリでカッパを釣ろうとしてる!?

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カッパ捕獲許可証は、遠野駅前の観光協会で発行しています。
裏面記載のルールを守って、めざせゴールド免許。

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SL銀河でたどる縁結びの旅、次回は終点の釜石から三陸鉄道南リアス線に乗り換えてもう一足、今話題のLOVEあふれるスポットを目指します。

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●小田島民芸所 公式サイト www.odasima.com
≪アクセス≫
・JR花巻駅より徒歩約10分
岩手県花巻市材木町10-20
0198-23-4856
営業時間 AM09:30~PM05:00

「忍び駒」制作体験の予約窓口は花巻観光協会になります(小グループ~団体のみ)。

●卯子酉様
≪アクセス≫
・JR遠野駅より約2.5km、車で約8分 レンタル自転車で約15分
・定期観光バスやタクシーの利用が便利です。
岩手県遠野市下組町11

●遠野伝承園 公式サイト www.densyoen.jp
≪アクセス≫
・JR遠野駅から早池峰バス附馬牛線(つくもうしせん)大出行き「足洗川」バス停下車徒歩3分
・JR遠野駅から早池峰バス土淵線恩徳行き「伝承園」バス停下車(本数極少注意)
・JR遠野駅より車で約20分 レンタル自転車で約30分 上記いずれにしてもバスの本数が少ないので要注意
岩手県遠野市土淵町土淵6地割5番地1
0198-62-8655
開園時間 AM9:00~PM17:00
入園料 大人320円、小中高校生220円

テーマ : 神社・仏閣巡り
ジャンル : 旅行

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鏑木麻矢

Author:鏑木麻矢
文筆家。著書「ニッポンのおみくじ」(グラフィック社刊)もうすぐ発売。2012年5月から2014年12月まで、㈱H.I.S.公式ブログとして「麻矢の不思議カワイイ!?ご利益モノがたり」連載。現在、当ブログ内にすべて再録。縁起物をこよなく愛する。約20年来、巷間の多種多様なおみくじを自らの足で歩いて独自に収集・研究中。絵馬コレクターでもある。かつて、仏像マニアのテレビ番組に出たことも。全ては神社仏閣・仏像巡り趣味から始まっている。旅と町歩き・路上観察、手仕事なモノ(郷土玩具、民藝)、美術鑑賞(月に最低2回位は美術館博物館に行くのが癒し)、古風なもの、レトロな雰囲気などが好き。何にせよ、知られざる面白いモノゴトを自分なりに発見していきたいです。他、天然石・鉱石やトランプ・占いカード等、気まぐれかつ雑多な収集癖あり。以前、下手の横好きでオペラを習ったこともあったり(今も観賞大好き)。何でもとことんハマるのが生き甲斐。

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