【再録】海を見守る復興のシンボル 釜石大観音

釜石駅周辺から晴れた日には遠くかすかに見える町のランドマーク、釜石大観音。前回の三陸鉄道南リアス線で一駅乗って歩くか、バスを使えば簡単にそこまで行けます。近付いてくると、いよいよ海に向かってそびえ立つ身長48.5mの観音様の勇姿が。
2014年11月12日掲載分01

幹線道路から階段を降りて少し歩くと、参道に突入。
観光はもちろん、初詣などには地元の人でにぎわう憩いの場です。
2014年11月12日掲載分02
仁王門をくぐり、受け付けをすませて、いざ境内へ。


すると最初に待ち受けているこの建物…
2014年11月12日掲載分03


中は、なんとエスカレーターです。
2014年11月12日掲載分04
ここを通り抜ければ仏の世界…の前に。


2014年11月12日掲載分05
エスカレーターの手前には、釜石で津波の真っ只中を耐えた「奇跡の石」。津波の被害をもろに受けた釜石の町は、更地になってしまっている所も多く、仮設住宅やプレハブの復興商店街などで何とか暮らしている状況、いまだ復興しているとは言い難い実状があります。呑気な旅人の私たちとしては、この石に触れることで平穏な日常に感謝するとともに、被災した方々の一日も早い物質的・精神的な復興を祈らずにはいられません。触れる人の除災招福・強運無事を祈って水晶や降魔の剣が埋め込まれているこの「奇跡の石」、ぜひ触って、感じて、祈りを交換し合ってみてほしいと思います。



エスカレーターを上りきると、目の前に開ける美しい海のながめ。
2014年11月12日掲載分06

真っ赤な欄干が別世界を演出する浄土橋は、傍らの階段を降りれば観音様の撮影ポイントにもなっています。
2014年11月12日掲載分07




観音様の右に目を移すと、インド式の仏舎利塔。
2014年11月12日掲載分08

スリランカから贈られた仏舎利が奉安されています。

2014年11月12日掲載分09
中はお釈迦様の生涯を表したドラマチックな空間。
ここを参拝すれば、仏舎利のパワーで心身が清められ、悪い因縁などもすべて浄化されると言われています。



仏舎利塔を地階に降りると、アジアの菩薩たちの部屋へ。
2014年11月12日掲載分10
中国の菩薩と、インドネシアの菩薩です。両国から贈られたこの繊細で美しいお像は、震災で一度は損壊したのですが、奇跡的な修復でよみがえり、再び安置されたとのこと。



地階には、シルクロードの石窟寺院を思わせる八宗祖師堂も。
2014年11月12日掲載分11
日本仏教の主要な宗派の創始者たちをお祀りしています。壁はインドから運んできた赤い砂岩。だからエキゾチックな雰囲気なんですね。

2014年11月12日掲載分12
祖師堂の一角には、縁結びの仏様「愛染明王」。忘れずに拝んでおきましょう。

この八宗祖師堂も震災で壁が崩落してしまいましたが、やわらかい砂岩の砕けた赤砂に守られたおかげで、祀られていたお像はなんと全て無事でした。現在はこの壁も見事に修復されています。
2014年11月12日掲載分13
この崩れた壁から出た赤砂を詰めた「ブッパウ・ストラップ」は、ここだけの縁起物。あの大災害から仏像を守ってくれた砂だけに、どんな危機も乗り越えられる強運を授けてくれそう。小瓶を包むレースの巾着は、すべて釜石市内の仮設住宅の人たちが手作業で編んでくれています。復興にも役立っている、心強いお守りです。



2014年11月12日掲載分14
さて、そろそろメインに行かなければ。これだけ大きな大観音ともなれば、一番の楽しみはやっぱり胎内巡りです。ご利益がいっぱい詰まった観音様のお体の中を、ぐるぐる探検しながらお詣りしちゃいましょう。

2014年11月12日掲載分15
観音様の足元から、いざ中へ。



2014年11月12日掲載分16
入って最初に祀られているのは、この巨大な観音様を造るために必要な原型として作られた「芯仏」、姿形は釜石大観音そのままに等身大になっているお像です。海を守るのにふさわしい、魚を抱いている「魚籃観音」という珍しいお姿。

2014年11月12日掲載分17
復興祈願の絵馬もここで。自由にメッセージを書き残してみてください。

ひとつ上の階に上がると、観音様の心臓部ともいうべき拝殿があります。ここの観音様の魂をお祀りし、震災の犠牲者を悼み復興を祈る神聖な道場です。合掌。


さらにこの上に上がると、七福神めぐりがスタート。
2014年11月12日掲載分18
最初は弁財天。ここからぐるぐる上りはじめますよ。



ほどなくして、色んな観音様がずらりと一周並ぶ階へ。
2014年11月12日掲載分19

これは三十三観音といって、観音様が色々な救いの形に応じて様々に姿を変え、人々の前に現れるということを示しています。釜石大観音の「魚籃観音」もその一種。
2014年11月12日掲載分20
どの観音様も、とても個性的で見飽きません。たとえば上の写真。上段右の「蛤蜊観音」はハマグリの中から突如出てきて食物に宿る命の大切さを教えてくれる観音様だったり(このお像では閉じたハマグリに乗っていますが)、下段中の「楊柳観音」は楊枝に使う柳の枝を持っていて、衛生面を得意とし病気から守ってくれたりします。水面に映った月を見つめる穏やかな心を表しているのは下段右の「水月観音」、鎌倉にも有名な仏像がありますね。一体一体のキャラクターを想像しながらお詣りしていけば、自分にピッタリの救いをもたらしてくれる観音様に出会えるかも。


ここから上では、ぐるぐる上るたびに残りの七福神が登場してきます。
2014年11月12日掲載分21

七福神も三十三観音も、表面に鉈の彫り跡が残る素朴な風合い。実は釜石大観音の原型も、全部同じ作者。現代の円空との呼び声高い、長谷川 昴(はせがわ こう)さんです。ワイルドな造形感覚からにじみ出るスタイリッシュさと繊細さが素敵。

2014年11月12日掲載分22
ゴールが見えてきました。この瞬間がたまりません。
海抜120mの大パノラマがすぐそこに。



2014年11月12日掲載分23
展望台は、観音様が抱いている魚の上。
だから巨大な尾びれが見えているんです。

2014年11月12日掲載分24
お顔もドーンと間近に。大迫力。


2014年11月12日掲載分25
リアス式海岸と港の織りなす絶景を堪能。
先ほどの仏舎利塔も、はるか眼下に。


2014年11月12日掲載分26
入口まで戻ると、参拝記念証や七福神の結願記念お札を有料で発行できます。七福神のハンコを自分できれいに押せたら、願いが叶うかも。

2014年11月12日掲載分27
御朱印は、お釈迦様のシンボルマークだそうです。梵字をデフォルメしたというインド風の複雑な図柄が神秘的。


2014年11月12日掲載分28
参拝の前後にほっと一息、観音様の足元の食堂で釜石スイーツ。釜石市内の小島製菓さんが作っている「くるみだれアイス」と「ごまだれアイス」。隠し味に塩を使っているので、そのぶん香ばしい風味や甘味が濃厚に感じられます。


まだまだ復興の途上にありながら、楽しい観光や豊富なご当地グルメで旅人を迎えてくれる釜石。力強く立ち上がろうとするこの町を、大観音は今日も静かに見守っています。

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●釜石大観音 公式サイト http://www.kamaishi-daikannon.com/
≪アクセス≫
・JR/三陸鉄道 釜石駅より岩手県交通路線バス上平田方面行で約10分、「観音入口」下車徒歩約10分
・三陸鉄道南リアス線 平田駅より徒歩30分
岩手県釜石市大平町3-9-10193-24-2125
拝観料:大人 500円 中・高生300円 小学生100円
AM9:00~PM4:30(季節により変動あり)

テーマ : 神社・仏閣巡り
ジャンル : 旅行

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鏑木麻矢

Author:鏑木麻矢
文筆家。著書「ニッポンのおみくじ」(グラフィック社刊)もうすぐ発売。2012年5月から2014年12月まで、㈱H.I.S.公式ブログとして「麻矢の不思議カワイイ!?ご利益モノがたり」連載。現在、当ブログ内にすべて再録。縁起物をこよなく愛する。約20年来、巷間の多種多様なおみくじを自らの足で歩いて独自に収集・研究中。絵馬コレクターでもある。かつて、仏像マニアのテレビ番組に出たことも。全ては神社仏閣・仏像巡り趣味から始まっている。旅と町歩き・路上観察、手仕事なモノ(郷土玩具、民藝)、美術鑑賞(月に最低2回位は美術館博物館に行くのが癒し)、古風なもの、レトロな雰囲気などが好き。何にせよ、知られざる面白いモノゴトを自分なりに発見していきたいです。他、天然石・鉱石やトランプ・占いカード等、気まぐれかつ雑多な収集癖あり。以前、下手の横好きでオペラを習ったこともあったり(今も観賞大好き)。何でもとことんハマるのが生き甲斐。

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