赤山禅院(京都)2・字馬

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関連記事→赤山禅院1・おしどり絵馬

こちらも赤山禅院。「おしどり絵馬」と並ぶ、この寺の名物絵馬。じゃなくて、字馬。

絵じゃなくって、全部梵字だから、「字馬」ということになっている。このような絵馬は全国的にも珍しく、マニアからの問い合わせが後をたたないという。

字ばっかりの絵馬だったら他にも色々あるわけだが、一文字で神仏を表す梵字がこうもたくさん書かれていると、さすがに格が違うということなのだろう。これまた、いかにも本格的な呪術がこもっている感じがする。

梵字の配列からしても、何かの曼荼羅を表しているにちがいない。
真ん中の輪の中心は地蔵菩薩や閻魔大王を表す「カ」なので、同じく冥界を司る本尊の泰山府君と思われる。
左の輪の中心は妙見菩薩を表す「ソ」で、周りに七文字を配するというのは北斗七星ということかもしれない。
右の輪の中心は不動明王の「カーン」。もはや私のような一般人には何の曼荼羅だかわからない世界に突入しているが、この雑多な感じがまた、神も仏も中国系呪術もごちゃまぜな平安京の妖しい精神世界を垣間見るようでおもしろい。

この赤山禅院という場所がすでに、そんな雰囲気を凝縮している。お寺なのに本尊は中国からきた陰陽道の神だし、境内のいたるところに鳥居がある。どのお堂の軒先にも、呑み屋でもお祭りでもないのに派手派手しい提灯が連なっている。まるで「千と千尋の神隠し」に出てくる生活感たっぷりの神様がわらわらとそこにいるかのようだ。びっしりと奉納されたおみくじ入りの福禄寿人形がケラケラ笑っているような気がする。そんな場所。

以上2種類の特徴的な絵馬の他には、赤い唐服姿の赤山明神(泰山府君)と御幣・鈴をもった鬼門鎮護の猿が一緒に描かれた絵馬も出ている。日本の寺社で中国風の神というのもそうそう目にするものではない。猿の像は本堂の屋根の上に置かれ、遥か京都御所の鬼門に据えられた同じタイプの猿と向かい合う。赤山禅院は御所の表鬼門に当たる、平安京を呪術的に守るための重要スポット。

こうした色々な意味で、この場所は奇妙なパワーにあふれている。絵馬をながめてみるだけでも、そんな雰囲気が色濃く表れているのを感じることができる。
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鏑木麻矢

Author:鏑木麻矢
文筆家。現在、初の著書を執筆中。2012年5月から2014年12月まで、㈱H.I.S.公式ブログとして「麻矢の不思議カワイイ!?ご利益モノがたり」連載。現在、当ブログ内にすべて再録。縁起物をこよなく愛する。約20年来、巷間の多種多様なおみくじを自らの足で歩いて独自に収集・研究中。絵馬コレクターでもある。かつて、仏像マニアのテレビ番組に出たことも。全ては神社仏閣・仏像巡り趣味から始まっている。旅と町歩き・路上観察、手仕事なモノ(郷土玩具、民藝)、美術鑑賞(月に最低2回位は美術館博物館に行くのが癒し)、古風なもの、レトロな雰囲気などが好き。何にせよ、知られざる面白いモノゴトを自分なりに発見していきたいです。他、天然石・鉱石やトランプ・占いカード等、気まぐれかつ雑多な収集癖あり。以前、下手の横好きでオペラを習ったこともあったり(今も観賞大好き)。何でもとことんハマるのが生き甲斐。

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