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安井金比羅宮(京都)2・櫛まつり

関連記事→安井金比羅宮・もうかり絵馬

上のリンクからわかるように、絵馬に対して並々ならぬこだわりを持っている安井金比羅宮。
それだけに、もうひとつ変わった絵馬を出している。

櫛まつり・1

櫛まつり・裏

櫛まつりというのは、この神社で毎年9月の第4月曜日(9・4で、く・し…?)に行われる、古くなったり傷んでしまった櫛やかんざしに感謝をこめて供養するお祭り。時代風俗行列も行われる。特徴的なのは、各時代の髪型を再現するのに、全て地毛で結い上げていること。かつらと違ってボリュームこそ少ないが、まさしく自分の体そのものとしての日本髪をもつ女性がずらりと並ぶさまには、本物ならではの不思議と禍々しい迫力がある。

絵馬は2種類。上のものは半円形で、おそらく櫛をかたどっているのだろう。下のものも、まあ櫛の形なのだろうが、この四角くて上だけ弓形というのは、絵馬が現在のスタンダードな五角形の庵形になる前によく使われた形でもある。もしかしたら、そのあたりも意識されているかもしれない。

櫛まつり・2

「美顔」とあるのは、境内にある、この祭りのメインともなる櫛塚に、美顔のご利益があるとされているため。その昔、日本の女性の美しさの基準だったまっすぐな黒髪は、ほとんど顔と同じ扱いだったと言っていいだろう。それほど大切な髪の毛を美しく保ってくれる櫛に、女性なら誰もがいだくはずの、美人になりたいという願いを託す。

体の一部やそこに身に着けるものを描いて、その部分の健康を祈願するというのは、江戸時代からの小絵馬によくあるスタイル。目や手や性器、腹巻きなど、色々ある。この絵馬の日本髪の描き方も、それに準ずるものに見える。櫛の形に髪の毛の絵という、2つのシンボルをひとつの絵馬に盛り込むとは、さすが絵馬館を擁する安井金比羅宮。こうした工夫を、もっと多くの寺社が見習ってくれれば、現代絵馬ももっと面白くなるだろうにと思う。

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鏑木麻矢

Author:鏑木麻矢
文筆家。著書「ニッポンのおみくじ(グラフィック社刊)」発売中。2012年5月から2014年12月まで、㈱H.I.S.公式ブログとして「麻矢の不思議カワイイ!?ご利益モノがたり」連載。現在、当ブログ内にすべて再録。縁起物をこよなく愛する。約20年来、巷間の多種多様なおみくじを自らの足で歩いて独自に収集・研究中。絵馬コレクターでもある。かつて、仏像マニアのテレビ番組に出たことも。全ては神社仏閣・仏像巡り趣味から始まっている。旅と町歩き・路上観察、手仕事なモノ(郷土玩具、民藝)、美術鑑賞(月平均2回以上は美術館博物館に行くのが癒し)、古風なもの、レトロな雰囲気などが好き。何にせよ、知られざる面白いモノゴトを自分なりに発見していきたいです。他、天然石やらトランプ・占いカード類やら喫茶店マッチやらと、気まぐれかつ雑多な収集癖あり。以前、下手の横好きでオペラを習ったこともあったり(今も観賞大好き)。気になったらとことんハマるのが生き甲斐。

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