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歌占いまむかし展に行ってきました。



今年正月の11日まで、東京都板橋区のときわ台天祖神社で行われていた「歌占いまむかし展」に行ってきました。今年はもう終わってしまいましたが、昨年のお正月にも同様の企画があったので、来年も…あってほしいっ!



会場は境内に併設の明るく現代的なギャラリー。ここで神社の歴史がわかる色々な展示を随時開催していたり、由緒書パンフレットが手作りで折り紙になっていたり、今回の展示を作成した成蹊大学のゼミと合同で新たな歌占おみくじを開発したりと、大変活発で地域に愛されている神社です。

「歌占いまむかし展」は、おおまかに「むかし歌占」と「いま歌占」の二部構成。主催は、成蹊大学プロジェクト型授業「日本古典文学共通講義Ⅱ」です。



「むかし歌占」のコーナーでは、江戸~明治時代の色々な歌占本の複製を実際にパラパラめくって見れちゃいます。この本のように挿絵が綺麗なものや、印刷がレトロなものなど、それぞれが味わい深く、楽しめました。

歌占本というのは、つまりまあ、当時の占いブックです。一時期流行っていた鏡リュウジ先生翻訳の「魔法の杖」みたいなイメージが近いかも。精神統一して本のページをパッと開くとアドバイスが出てくる的な(こういうのを西洋ではビブリオマンシーと言います)。もしくは、例えて言うなら付録の占いグッズを使って出した結果のページを見て占うとか、そんな感じの。びっくりするほど感覚的に現代と一緒なんですね。特徴としては、占い結果の象徴内容を伝えるメッセージとして和歌がメインになっていること。今日よくある和歌を使ったおみくじの、まさに直近の先祖というわけ。

なお、今年は最終日のギャラリートークに鏡リュウジ先生ご本人がお客としていらしたそうです(なんと公式サイトでもレポートされていますよ→)。解説内容も濃厚そうだったので、日程を合わせられず残念でした。



↑「晴明歌占」なんてのも。江戸時代にも安倍晴明ブームが来てたとは!内容的には既存の歌占に、占いの名人として知られた平安時代の陰陽師・安倍晴明を結び付けたもので、賽を使います。昨年の成蹊大学の学園祭では実際に占うことのできるイベントもあったそうなので、お好きな方は要チェックです。


「天・地・人」と書かれた9つの賽を使って占うタイプの本も、いくつかありました。先ほどのカラー挿し絵入りのも、そのひとつ。他には数字の書かれた賽があるそうです。


↑「天満宮六十四首歌占御籤抄」。元三大師百籤(お寺の漢文おみくじ)のゆるやかな影響と天神信仰風味が混ざったような、こちらも神仏習合的カオスな世界が感じられる一冊。余談ですが、この「天満宮~」は、復刻版歌占本を都内の亀戸天神社で買うことができます。ちなみに、凶がだいぶ多く、かなり鬱入りそうなハードボイルド占いでした。こう言ってしまうと嫌になりそうですが、逆に考えれば、それだけ当時の思うにまかせぬ人生に寄り添っていたということなのかも。これについては、また改めてご紹介しようと思います。


そして特筆すべきは、「神代正語籤(かみよのまさことのくじ)」、「神籤五十占(しんせんごじゅっせん)」、十文字学園女子大学所蔵の明治時代の「和歌みくじ一式」の三つの展示品。なぜって、これらは現代でもおみくじに使っている神社がいくつかあるからです。

まずは↓「神代正語籤(かみよのまさことのくじ)」。

漢文のように見えますが、実は祝詞などに使われる「宣命体(せんみょうたい)」という特殊な表記法で書かれた和歌だそうです(漢字と、漢字が崩れてひらがなに変化していく前の原形「万葉仮名」のちゃんぽんみたいだなと思いました)。

ところで、おみくじの吉凶と一緒に「○○兆(○○のうらかた)」という日本神話にちなんだタイトルのついているタイプ、時々みかけませんか?展示では実例として戸隠神社と氷川神社を挙げていました。私は氷川神社で何度か引き、神話ネタと絡めて占えるのが楽しいから好きで気になっていたのですが。なんと、このタイプの元ネタなんですね!

この「神代正語籤」は、現代のおみくじ事情を考える上でも重要なもの。幕末の尊皇攘夷思想の盛り上がりに伴い、易経系や仏教系など外来の要素を廃した神道独自のおみくじを目指して国学者が作ったということで、明治維新以降の神社の和歌おみくじの思想的先駆けなのだとか。

そんな流れで明治維新に作られた「神籤五十占」(1870年刊)は、神仏分離令を明確に意識した上で、やはり国学者によって編まれた和歌のおみくじだそうです。それまではお寺も神社もごちゃまぜで、元三大師百籤ほか色々な漢文のおみくじを使っていたとのこと。「神籤五十占」はネットの国立国会図書館近代デジタルライブラリーで誰でもフルに見られます!

↓気になったらクリック↓
「神籤五十占」を見てみる!

「神籤五十占」の和歌を今でも使っている所として、吉田神社と王子神社が挙げられていました。もしかしたら他にもあるかも。上の原典はがんばれば読めなくもない加減の崩し字なので、見比べながら探すのも一興。王子神社のは私も引いたことがありますが、古い版木をそのまま使っていて、古文書みたいでかっこいいですよ。今まで、どう見ても女子道社(最大手の神社おみくじメーカー)ではなさそうな和歌のおみくじの元ネタを疑問に思っていたので、謎が一気に解けたようでテンション上がりまくりでした。

もうひとつ、十文字学園女子大学所蔵「和歌みくじ一式」は、おみくじ結果の紙を納めた棚ごと明治時代から全部残っているツワモノ。


全種類の結果が壁一面に展示されていました。

すべて挿絵つき。

もうね、手刷りの絵柄がいちいち素敵なんですよ。これを引けた時代の人が心底うらやましいです。とはいえ「半数近くが凶」。昔のおみくじは、やはり何ともハードな模様。人生は甘くないぞ。

今でも同じ和歌を使っている所として、大阪の今宮戎神社が挙げられていました。他にもひっそりあるかもしれません。祭神にちなんだわけでもなく女子道社でもなさそうな和歌おみくじを見つけたとき、元ネタはこれと「神籤五十占」どっちかな、なんて考え始めたらもはやマニア道。国会図書館などで調べれば、展示されていたものも含めて、これ以外にも細く長く生き延び元ネタとなっている歌占本・みくじ本などにまだまだ出会えるかもしれないですね。


「むかし歌占」と「いま歌占」をつなぐのが、国立国会図書館所蔵の新城文庫「おみくじ集」。明治末期から昭和初期のおみくじ引き歩きスクラップブックです。
おみくじ毎にいくつか抜き出す形での展示でした。私としては、百年前におんなじことしてた人がいる!と思うともう胸熱すぎで、時を越えて仲間を見つけた気がして嬉しかったです。中には今でも全く同じだったりあまり変わっていなかったりするおみくじも、いくつかありました。そういった昔なつかしく興味惹かれるものに偶然出会える楽しみがあるから、おみくじ引き歩きとファイリングはどうにもやめられないんです!



「いま歌占」では、今でも引ける全国の特色ある和歌おみくじが多数展示されていました。「むかし歌占」との関連などもしっかり解説されていて、現代に生きる歌占を身近に感じることができます。こうした時代を越える共通感覚のつながりに思いを馳せれば、色々なところでおみくじを引くのがもっと特別で楽しいものになるはずです。そんなきっかけをくれる、とても充実した展示会でした。

最後に、ここで何と言っても忘れてはいけないのが、ときわ台天祖神社では、歌占系おみくじの最も古い形を復刻再現したオリジナル歌占が引けるということ。この展示が終わろうとも関係なく、社務時間内であればいつでも引かせていただけます。

というわけで、引いてみようかと、その前に。

展示にもありましたが、歌占というのはもともと、和歌を使った託宣のこと。万葉の時代から、和歌は神様と交流するための特別な言葉のフォームでした。この文化的背景のなか、専門の巫者(シャーマン)がいて、神がかって歌を詠み、それを神様のお告げとして伝えたのが歌占の本来の形です。ただ、これではいつでも誰でもというわけにいかないので、ざっくり簡略化してみたという記録が室町時代に初めて現れました。それぞれ違った和歌の書かれた何枚かの短冊を弓にぶら下げ、そこから引いて出たのが今のお告げ、というものです。これが、現代につながる和歌おみくじの系譜の、歌占本以前のルーツになります。

さて、そう来ればもう、これを引かずには帰れません。

室町時代の歌占そのままのビジュアルに惚れ惚れしてしまいます。体験できるのは、ここだけですよ!

引く前に。

呪文の和歌をお唱えします。
歌占本でも、占う前に決まった唱えごとの和歌のあるものが多いです。

こうして体と心を使って、神様とのコミュニケーションの世界に入っていくわけですね。

心静かに、一枚選びます。



出ましたー。

わーい、お稲荷様だー♪


結果の紙をいただきました。イラストが可愛くて、トレカのように集めたくなってしまうほど。これは行ったら毎回引かねば。


幸先良い感じの和歌に、元気もらいました。
出てきた神様に力いっぱい祝福してもらえてる感じがして、うれしくなってきます。


オリジナル歌占では、16柱の可愛い神様たちが待ってますよ。登場するのは、ときわ台天祖神社の境内に祀られている神々と、同神社蔵「天岩戸開(あまのいわとびらき)」絵馬(江戸時代)の中に描かれた神々です。ということは、境内のどこかにいらっしゃいます。摂社末社など探してお詣りしてみると良さそう(わからなかったら神社の方がお手隙の時にでも尋ねてみては)。

ちょっとハッピーな気分になれて希望がわいてくるのも、現代おみくじの大きな魅力です。ときわ台天祖神社で今一番古くて新しい歌占を引いて、神々と和歌のパワーをぜひ感じてみてください!
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鏑木麻矢

Author:鏑木麻矢
文筆家。現在、初の著書を執筆中。2012年5月から2014年12月まで、㈱H.I.S.公式ブログとして「麻矢の不思議カワイイ!?ご利益モノがたり」連載。現在、当ブログ内にすべて再録。縁起物をこよなく愛する。巷間の多種多様なおみくじを収集・研究中。絵馬コレクターでもある。かつて、仏像マニアのテレビ番組に出たことも。全ては神社仏閣・仏像巡り趣味から始まっている。旅と町歩き・路上観察、手仕事なモノ(郷土玩具、民藝)、美術鑑賞(月に最低2回位は美術館博物館に行くのが癒し)、古風なもの、レトロな雰囲気などが好き。何にせよ、知られざる面白いモノゴトを自分なりに発見していきたいです。他、天然石・鉱石やトランプ・占いカード等、気まぐれかつ雑多な収集癖あり。以前、下手の横好きでオペラを習ったこともあったり(今も観賞大好き)。何でもとことんハマるのが生き甲斐(悪癖?)。

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