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五条天神社(東京・上野)・的絵馬と船絵馬

五條天神社・的絵馬

五條天神社・船絵馬

上野の山の、不忍池に面した片隅にひっそりと鎮座する五条天神社。かつての寛永寺の名残りとして付近に点在する寺社の中でも、目立たないほうだったりする。この神社が実はがんばって面白い絵馬を何枚も出していることなど、ほとんど知られていないのではなかろうか。

上の写真は、的絵馬。そのものズバリ願い事という的に向かって、思いのたけをぶつける。そして下の写真は、宝船を描いた、船絵馬。こちらは、願いが叶ったときに御礼として奉納する。台形というのもめずらしい。こういった素朴な風習を遺しているのは貴重だ。それに、絵馬自体の作りも、焼印に藁紐と、手作りの民芸品的な温かみがあって味わい深い。

ところで、この宝船の絵柄は、同社で出している縁起物の、お正月用の宝船の絵に似せてあるようだ。京都にある同名の神社では日本最古の宝船図を出しているので、それとの関連も指摘されるが、真偽のほどは定かでない。絵柄も全く違う。東京・上野の五条天神社の宝船図は、霊山筆のコピーで、筆でササッと描いた感じの、力の抜けたシンプルな墨絵となっている。いずれにせよ、宝船といえば七福神だが、それ以前の、船と宝だけのものは数少ない。地味だけれど面白い縁起物を色々出しているところを見つけると、なんだか楽しくなってくる。
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鏑木麻矢

Author:鏑木麻矢
文筆家。著書「ニッポンのおみくじ(グラフィック社刊)」発売中。2012年5月から2014年12月まで、㈱H.I.S.公式ブログとして「麻矢の不思議カワイイ!?ご利益モノがたり」連載。現在、当ブログ内にすべて再録。縁起物をこよなく愛する。約20年来、巷間の多種多様なおみくじを自らの足で歩いて独自に収集・研究中。絵馬コレクターでもある。かつて、仏像マニアのテレビ番組に出たことも。全ては神社仏閣・仏像巡り趣味から始まっている。旅と町歩き・路上観察、手仕事なモノ(郷土玩具、民藝)、美術鑑賞(月平均2回以上は美術館博物館に行くのが癒し)、古風なもの、レトロな雰囲気などが好き。何にせよ、知られざる面白いモノゴトを自分なりに発見していきたいです。他、天然石やらトランプ・占いカード類やら喫茶店マッチやらと、気まぐれかつ雑多な収集癖あり。以前、下手の横好きでオペラを習ったこともあったり(今も観賞大好き)。気になったらとことんハマるのが生き甲斐。

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