春日夫婦大國社(奈良)1・宝づくし

春日夫婦大国社・宝づくし

春日夫婦大國社は、オオクニヌシノミコトとスセリヒメの夫婦を祀る日本唯一の神社。あの世界遺産・春日大社の摂社である。だが、春日大社の歴史的な格調高い雰囲気とは打って変わって、今まさに生きている現役バリバリの民間信仰が垣間見られる場所だ。社殿も外観こそ古めかしいものの中の様子は賑々しく、大国様ご夫婦の姿がいたるところに掲げられていたり、スセリヒメの持ち物とされるしゃもじが山のように奉納されていたりと、雑多な感じで親しみやすい。それにスセリヒメというのがまた、ふくよかなおふくろさんのような庶民的な姿で、なかなかカワイイ。しゃもじは願い事を書いて奉納するので、絵馬と同じ機能を果たしているわけだが、それだけではなく何種類かの絵馬も用意されているし、縁起物もとても豊富だ。

そのなかでも、いかにも縁起物といった風なのがこれ。「宝づくし」という伝統的な図柄だ。ここでは打出の小槌、宝珠、宝鍵、分銅、七宝・丁子、隠れ蓑・隠れ笠が描かれているが、他にも色々なバリエーションがある。要はとにかく色々な不思議でめでたい宝物ということ。私はこの柄が大好き。見ているだけで何かいいことが起きそうな、満たされた幸せな気分になってくる。宝づくしは、大国様はもちろん、稲荷や弁天といったような、現世利益的な神仏を祀っているところで出している縁起物に多い気がする。それに、この柄の中の意匠がひとつでもみられる寺社は、それだけで生きのいいような感じがするから不思議だ。ここ夫婦大國社でも、大国様の持ち物とされる打出の小槌があったり、これまた宝づくしをカラフルに手描きした大きな福枡が授与されていたりする。宝づくしはやっぱり元気のもとだなあと、私は思ったりするのだった。
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鏑木麻矢

Author:鏑木麻矢
文筆家。著書「ニッポンのおみくじ」(グラフィック社刊)もうすぐ発売。2012年5月から2014年12月まで、㈱H.I.S.公式ブログとして「麻矢の不思議カワイイ!?ご利益モノがたり」連載。現在、当ブログ内にすべて再録。縁起物をこよなく愛する。約20年来、巷間の多種多様なおみくじを自らの足で歩いて独自に収集・研究中。絵馬コレクターでもある。かつて、仏像マニアのテレビ番組に出たことも。全ては神社仏閣・仏像巡り趣味から始まっている。旅と町歩き・路上観察、手仕事なモノ(郷土玩具、民藝)、美術鑑賞(月に最低2回位は美術館博物館に行くのが癒し)、古風なもの、レトロな雰囲気などが好き。何にせよ、知られざる面白いモノゴトを自分なりに発見していきたいです。他、天然石・鉱石やトランプ・占いカード等、気まぐれかつ雑多な収集癖あり。以前、下手の横好きでオペラを習ったこともあったり(今も観賞大好き)。何でもとことんハマるのが生き甲斐。

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