東伏見稲荷神社(東京)

東伏見稲荷境内図

東伏見稲荷神社は、戦前、東京にも伏見稲荷をと創建されたところ。
本家の伏見稲荷までとはいかないが、拝殿・本殿の裏は森になっていて赤い鳥居が林立する中に「お塚」とよばれる祠が点在し、ちょっとした「お山めぐり」を体験できるようになっている。

この絵馬は、境内のそんな風景をあらわしたもの。社殿裏の鳥居群が左右対称に配列されている。実際はもっとごちゃごちゃとした印象だったはずだが、そんなことはもはや関係ない。画面中央に雲が配されていることから、ここに描かれているのはある種の理想化された別世界だということがわかる。

神社の境内が描かれるのは、ただの風景画としてだけではない。鎌倉時代に多く製作された宗教画の形式のひとつに、宮曼陀羅というのがある。誰もいない神社の風景を鳥瞰(ちょうかん)図的に表すことで、その聖地性を際立たせ、またその空間に凝縮された小宇宙を見出す。この絵馬の絵柄は、そういった描き方に近いように思う。

実際に境内を歩いてみると、本殿を中心に小さな稲荷のお塚が取り囲み、その祠の周りをさらにおびただしい狐の像などが埋め尽くすさまは、曼陀羅の構造とよく似ているように思う。そんな不思議な空間をさまようと、なんだかミニマルな浮遊感にとらわれて、そのまま異界へ飛んでいってしまいそうな気がしてくる(本家・京都の伏見稲荷はもっと飛び抜けてすごい)。

こういった感覚をすっきりと表現してくれているこの絵馬は、見ているだけで鳥居などの配置のテンポが心地よく、目と心を異空間へと誘ってくれる。
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鏑木麻矢

Author:鏑木麻矢
文筆家。著書「ニッポンのおみくじ(グラフィック社刊)」発売中。2012年5月から2014年12月まで、㈱H.I.S.公式ブログとして「麻矢の不思議カワイイ!?ご利益モノがたり」連載。現在、当ブログ内にすべて再録。縁起物をこよなく愛する。約20年来、巷間の多種多様なおみくじを自らの足で歩いて独自に収集・研究中。絵馬コレクターでもある。かつて、仏像マニアのテレビ番組に出たことも。全ては神社仏閣・仏像巡り趣味から始まっている。旅と町歩き・路上観察、手仕事なモノ(郷土玩具、民藝)、美術鑑賞(月平均2回以上は美術館博物館に行くのが癒し)、古風なもの、レトロな雰囲気などが好き。何にせよ、知られざる面白いモノゴトを自分なりに発見していきたいです。他、天然石やらトランプ・占いカード類やら喫茶店マッチやらと、気まぐれかつ雑多な収集癖あり。以前、下手の横好きでオペラを習ったこともあったり(今も観賞大好き)。気になったらとことんハマるのが生き甲斐。

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