鶴岡八幡宮(鎌倉)・2011年卯の干支絵馬と大銀杏

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2010年3月10日、鶴岡八幡宮の大銀杏が倒壊してしまいました。このご神木は、源公暁(くぎょう)が源実朝(鎌倉幕府三代将軍)を暗殺するとき後ろに隠れていたことで有名。いわば歴史の生き証人です。それだけに、失われてしまった寂しさは相当なものではないでしょうか。あれ以来、私は何か胸の詰まるような感じをおぼえ、ずっと鎌倉には足が向かずにいました。

ですが、夏も盛りの先日、たまたま用があって鎌倉を訪れた折に、ふと鶴岡八幡宮の授与所で絵馬をチェックしてみたら、気付いたのです。2011年の干支のうさぎの足元に、銀杏の新芽が描かれていることに。芽が出はじめたのは2010年4月だそうです。絵馬のわきには、大銀杏の枝で奉製されたお守りも置かれています。この様子を見て私は急に少し救われたような心地になり、かつて大銀杏のあった場所をこの目でしっかり確かめてみようと思い立ちました。

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黒いカバーがかけられ痛ましい大銀杏の姿。二箇所に分かれているのは、倒れた大銀杏を3つに分けて、元の場所には上のほう2つを保存し、根元から高さ4 メートルまでを7メートル先に移植したためです。近づいてみると、根元を移植したほうには、大きな絵馬が掲げられていました。

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「大銀杏の芽吹きを祈る大絵馬」鶴岡八幡宮鶴の子会による奉納ということです。がんばれ、元気になってね、もとのように大きくなってね、と子どもたちの温かなメッセージが寄せ書きされています。復活再生への力強い願い。それは2011年の今を生きる私たちの思いとシンクロしているように見えてなりませんでした。奇しくも大銀杏の倒壊から丸一年、そしてその向こうがわに続いているこの夏。無力な私には祈ることしかできません。

何ともいえない気分になった私は、せめて新芽を見たいと石段を昇っていきました。この黒い幕の裏側を、大銀杏が元あった場所の少し上あたりから見下ろします。すると、たしかに見えました。幕の合間に目をこらすと、幹の周りに天を向いて生え出た何本もの細かい枝を、小さな緑の葉が覆っています。この瀕死だった大銀杏に皆の祈りが届いて命が芽吹いたということ、それ自体がまた祈りであるかのように思えてなりません。世界中あらゆる喪失からの再生あらんことを。
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鏑木麻矢

Author:鏑木麻矢
文筆家。著書「ニッポンのおみくじ」(グラフィック社刊)もうすぐ発売。2012年5月から2014年12月まで、㈱H.I.S.公式ブログとして「麻矢の不思議カワイイ!?ご利益モノがたり」連載。現在、当ブログ内にすべて再録。縁起物をこよなく愛する。約20年来、巷間の多種多様なおみくじを自らの足で歩いて独自に収集・研究中。絵馬コレクターでもある。かつて、仏像マニアのテレビ番組に出たことも。全ては神社仏閣・仏像巡り趣味から始まっている。旅と町歩き・路上観察、手仕事なモノ(郷土玩具、民藝)、美術鑑賞(月に最低2回位は美術館博物館に行くのが癒し)、古風なもの、レトロな雰囲気などが好き。何にせよ、知られざる面白いモノゴトを自分なりに発見していきたいです。他、天然石・鉱石やトランプ・占いカード等、気まぐれかつ雑多な収集癖あり。以前、下手の横好きでオペラを習ったこともあったり(今も観賞大好き)。何でもとことんハマるのが生き甲斐。

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