円珠院(東京都江東区) 干支・龍

円珠院 手描き干支 龍

手のひらサイズも可愛らしい、この手描き絵馬は深川七福神の大黒天を祀る円珠院というお寺で出されているもの。お正月には元旦から15日までの七福神めぐりでにぎわう中、おとぼけ顔で温かみのあるタッチの龍が目に入ると心もなごみます。干支なので毎年絵柄が変わるのも楽しみ。境内に絵馬掛け所のようなものは特にないので、持ち帰って飾り、新年のワクワク気分を高めて気持ちを新たにするのが良いと思います。

ところで龍って、小絵馬の世界では実は新参者の部類なんです。というのも、美術的な派手派手しさが求められる大絵馬ならともかく、個人が願いを込めて密かに奉納したり家に持ち帰って祀ったりする量産型の小絵馬は庶民の生活と信仰に密着したもの。龍の絵柄の手描きの小絵馬というのも一見すると古くからありそうな感じを受けますが、干支の絵馬が登場するまでは、意外にもそういったものは見当たらないようです。龍は想像上の動物ですし、そのへんにいる蛇だとか家畜なんかに比べるとそれほど身近ではなかったのかもしれません。

馬の絵にはじまると言われる絵馬にはさまざまな絵柄がありますが、かつての小絵馬はその絵柄ごとに意味が込められていました。今日のように文章で願い事を書くのではなく、絵がその役割をはたしていたのです。そして文章も自分の名前も書かずに、年齢あるいは生まれ年の干支と性別だけを記すのが普通でした。絵柄によって奉納先の寺社が決まっていることもありました。

これでは面倒だということで、どこの寺社にでもどんな願い事にでも対応できるオールマイティーな小絵馬が登場してきます。そのひとつが、干支を描いた絵馬。現在ではお正月にその年の干支の絵馬で願い事をするのが普通ですが、これは実は戦後に絵馬が機械で量産されるようになってからの話。それ以前は、その年の干支とは関係なく、その人の生まれ年の干支の絵馬に年齢と性別だけを書いて奉納していました。願い事は、自分自身と神仏だけの間の秘密ということなのでしょう。そんな経緯ですから、龍と犬と兎と羊を描いた小絵馬をみるには干支絵馬の登場を待たなければなりません。特に羊は日本であまりメジャーな家畜とはいえないので、現在でも絵馬の絵柄としては干支以外ではまず見られないと思われます。

ですが、やはり龍は縁起の良い動物で絵的にも美しいので、小絵馬として手元に置いても嬉しいもの。にらみをきかせた凛々しい龍もいいですが、この円珠院の手描き絵馬のような、一目でほっこりするお茶目な龍も新年のハッピーな気分を盛り上げてくれそうです。


※残念ながら、描き手が高齢のため2013年か2014年頃廃絶してしまいました。
スポンサーサイト
検索フォーム
最新記事
おみくじたんbot
  (取扱説明書はコチラ)
リンク
最新トラックバック
最新コメント
オススメ記事
プロフィール

鏑木麻矢

Author:鏑木麻矢
文筆家。現在、初の著書を執筆中。2012年5月から2014年12月まで、㈱H.I.S.公式ブログとして「麻矢の不思議カワイイ!?ご利益モノがたり」連載。現在、当ブログ内にすべて再録。縁起物をこよなく愛する。約20年来、巷間の多種多様なおみくじを自らの足で歩いて独自に収集・研究中。絵馬コレクターでもある。かつて、仏像マニアのテレビ番組に出たことも。全ては神社仏閣・仏像巡り趣味から始まっている。旅と町歩き・路上観察、手仕事なモノ(郷土玩具、民藝)、美術鑑賞(月に最低2回位は美術館博物館に行くのが癒し)、古風なもの、レトロな雰囲気などが好き。何にせよ、知られざる面白いモノゴトを自分なりに発見していきたいです。他、天然石・鉱石やトランプ・占いカード等、気まぐれかつ雑多な収集癖あり。以前、下手の横好きでオペラを習ったこともあったり(今も観賞大好き)。何でもとことんハマるのが生き甲斐。

当ブログの著作権は著者に帰属します。引用するときは引用元記事もしくはブログトップページへのリンクを必ず行ってください。

おみくじ関係のお仕事をご依頼の方は、必ずこちらの記事を読んでから依頼・質問等してください。

仕事依頼・連絡先
(ご依頼は有償となります)
kabura@gmail.com

カテゴリ
QRコード
QR
   
月別アーカイブ
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる