「絵」になる前に、立体の「馬」!

なぜ「絵」の「馬」で絵馬なのか。それはもともと、神様に生きた馬を捧げていたのが始まりだったから。神様の乗り物と考えられ、神聖視されてきた馬。雨乞いには黒い馬、晴れてほしいときには白い馬を、川辺で水の神に捧げて豊作を祈るという、まるでてるてる坊主のような風習もありました。それが生きた馬だと何かと大変なので、小さな板切れに馬の絵を描いたものへと簡略化されていったのです。こうした絵馬の原型らしきものは、古くは奈良時代の、かつては水辺だったという地層から出土しています。

 

ちなみに最も古い絵馬は、馬を描いた四角い板です。現在のいわゆる絵馬は、屋根のような五角形をしているものが多いですが、これは厩舎をかたどったもの。馬と関係ない絵柄であっても、馬の面影を残しているというわけです。

 

ところで、生きた馬の代わりとして絵に描いた馬が定着するまでには、過渡期的なものも色々ありました。そんな絵馬のプロトタイプを今に伝えているのが、こちら。

 

 

 

 

写真上の素朴なものは、茨城県東海村の村松山虚空蔵尊というお寺で出している立絵馬。「真弓馬」ともよばれる郷土玩具です。写真下は、奈良県奈良市の、東大寺三月堂近くにある手向山八幡宮の立絵馬。こちらは応神天皇(八幡神)の愛馬「あつふさ」をイメージしたものとも言われるだけに、雅な雰囲気があります。今でも立絵馬が手に入るのは、この2箇所だけ。

 

この他、藁や陶器などで馬をかたどった郷土玩具も、絵馬の原型を残すものではないかと言われています。また、今でも神社には、神馬として生きた馬を飼っていたり、木馬を置いていたりするところがあるので、探してみるのも面白いかもしれません。

 

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鏑木麻矢

Author:鏑木麻矢
文筆家。著書「ニッポンのおみくじ」(グラフィック社刊)もうすぐ発売。2012年5月から2014年12月まで、㈱H.I.S.公式ブログとして「麻矢の不思議カワイイ!?ご利益モノがたり」連載。現在、当ブログ内にすべて再録。縁起物をこよなく愛する。約20年来、巷間の多種多様なおみくじを自らの足で歩いて独自に収集・研究中。絵馬コレクターでもある。かつて、仏像マニアのテレビ番組に出たことも。全ては神社仏閣・仏像巡り趣味から始まっている。旅と町歩き・路上観察、手仕事なモノ(郷土玩具、民藝)、美術鑑賞(月に最低2回位は美術館博物館に行くのが癒し)、古風なもの、レトロな雰囲気などが好き。何にせよ、知られざる面白いモノゴトを自分なりに発見していきたいです。他、天然石・鉱石やトランプ・占いカード等、気まぐれかつ雑多な収集癖あり。以前、下手の横好きでオペラを習ったこともあったり(今も観賞大好き)。何でもとことんハマるのが生き甲斐。

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